「ライオンは治療しないじゃないですか」尊富士 高校時代から変わらぬ“本能のまま”の素顔

2024年03月24日 16:27

相撲

「ライオンは治療しないじゃないですか」尊富士 高校時代から変わらぬ“本能のまま”の素顔
<大相撲春場所千秋楽>土俵入りする尊富士(左奥)。右足首にはサポーター、腿には痛々しい傷が(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【大相撲春場所14日目 ( 2024年3月23日    エディオンアリーナ大阪 )】 大相撲春場所千秋楽の取組が24日、エディオンアリーナ大阪で行われ、東前頭17枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜部屋)が西前頭6枚目の豪ノ山(25=武隈部屋)を押し倒しで破り13勝2敗で初優勝を決めた。前日の朝乃山戦で右足首を負傷し、出場も危ぶまれた中での強行出場で気迫の一番を見せた。新入幕優勝は1914年(大正3年)夏場所の両国以来110年ぶりの快挙。初土俵から所要10場所目での優勝は両国の11場所目を抜く史上最速となった。
 あの時の高校生が大相撲の歴史を変えたのかと、不思議な気持ちになる。尊富士が鳥取城北高2年だった16年5月、当時私が主将を務めていた早大相撲部に出稽古に訪れていた。当時から立ち合いのスピードや出足は抜群で、大学生をも圧倒していたと記憶する。

 当時のチームメートたちによると、相撲スタイルと同様に性格もそのままという。土俵を降りれば人懐っこい笑顔を振りまく一方、独特の考え方や“名言”で周囲を驚かせ笑わせる。今場所は日に日に注目が高まっていく中「今まで緊張したことがない」「心臓ないのかもしれない」と豪快に笑っていた。

 場所前には右脇腹を負傷。一時は出場も危ぶまれるほどだったが、病院には行かなかったという。「ライオンは治療とかしないじゃないですか。ありのままですよ。何もしないで寝るのが一番」「サプリを摂っているのは人間ぐらいですから」。人間離れした思考の24歳は、まさに「本能のままに」生きていた。

 そんな“野性児”だが、謙虚な気持ちも忘れていない。「番付が上がったからといって偉くなるわけではない」と常に心掛けており、場所中には「記者さんも大変ですね」と毎朝稽古場に通う報道陣を気遣ってくれた。にじみ出た優しさもまた、彼の本能だ。
(相撲担当・前川 晋作)

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