ストーン記者が語る22年前の球宴 今もなお語り継がれるイチロー51番対決 今回は大谷が魅せる番と期待

2023年07月12日 02:30

野球

ストーン記者が語る22年前の球宴 今もなお語り継がれるイチロー51番対決 今回は大谷が魅せる番と期待
2001年オールスターの初回、イチロー(左)が1塁内野安打を放ち、ベースカバーに入るランディ・ジョンソンと競争。球宴初安打 Photo By スポニチ
 Ichiroの衝撃から22年、SHO TIMEが与えるインパクトは――。シアトルで01年以来22年ぶりのオールスター開催を迎え、シアトル・タイムズ紙で長年マリナーズを担当し、スポニチ本紙コラム「プレスα」でも執筆するラリー・ストーン記者(64)が、実際に取材した01年球宴の衝撃と、大谷への期待を本紙に寄稿した。
 01年のシアトルの球宴はイチローにとって完璧な舞台だった。マリナーズは前半戦を終え63勝24敗とメジャートップの成績で、チームから8選手が選出。球場は開場から2年のピカピカの建物で、好天にも恵まれた。その年にデビューしたイチローは、当初は未知数だったが、公式戦に入ると1番打者としてマ軍の快進撃をけん引した。個人成績でも打率.347で、134安打と28盗塁は共にリーグ1位。ファン投票で両リーグ最多337万票を獲得、ファンが一番見たい選手だった。

 クレメンス、ボンズ、A・ロドリゲスら大物がひしめく中、主役はイチローと、今回が最後の球宴と表明していたリプケンだった。日本メディアだけでなく、全米の記者もお目当てはイチロー。瞬く間に大リーグを征服した51番に興味津々だった。同じくルーキーだったカージナルスのプホルスが「イチローは凄い。日本語がしゃべれたら、どうすればあんなにヒットを打てるのか直々に聞いてみたい」とファン目線だったことを覚えている。

 異常な盛り上がりの中、試合でも期待に応えた。初回先頭でランディ・ジョンソンと対峙(たいじ)。イチローの前にマ軍で「51番」をつけていた先輩だ。1球目は体の近くで、よけるしかなかった。2球目をフルスイング。一塁線への強い当たりでヘルトンがダイブして止めたが、イチローが快足でベースカバーのジョンソンを上回り、内野安打とした。他にもハイライトがあったが、51番対決は今でもシアトルで熱く語り継がれている。

 先日イチローは筆者に「球宴の初打席で、あれ以上のセッティングは考えられない。とても大きな出来事だった。しかもヒットの後、ランディが一塁ベース上の自分をにらみつけてきて、ちょっと怖かった」と回顧している。とはいえ、すかさず二盗も決めている。

 あれから22年、今回は大谷が魅せる番だと期待している。今回はケガでトラウト、ジャッジ、カーショーが出ないこともあり、スターの中でもそびえ立つ存在だ。ホームランダービーにも出てほしかったし、投げてほしかったが、これは仕方がない。その分、彼にはDHで3、4打席は立ち、ぜひ特大のホームランを2本はかっ飛ばしてもらいたい。01年の51番対決のように、後々まで語り継げるシーンをと願っている。(シアトル・タイムズ紙記者)

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