異例競泳との二刀流!日大豊山・光永 4番で1安打、俊足生かし二盗も 昨年総体で3冠の水の王者

2023年07月12日 05:00

野球

異例競泳との二刀流!日大豊山・光永 4番で1安打、俊足生かし二盗も 昨年総体で3冠の水の王者
<日大豊山・上野学園>水泳と野球の二刀流の日大豊山・光永は初戦突破して笑顔でポーズ(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権東東京大会2回戦   日大豊山7―0上野学園 ( 2023年7月11日    神宮 )】 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は11日、36大会で281試合が行われた。東東京大会では日大豊山が上野学園に7―0で7回コールド勝ち。入学から水泳との異例の「二刀流」を実現させて最後の夏に臨んでいる光永翔音(しょうおん)内野手(3年)が「4番・一塁」で出場して3打数1安打、1盗塁で勝利に貢献した。
 水の王者は、陸の上でも存在を輝かせることができる。決して楽な道ではなかった、高校での野球と水泳の二刀流。初回無死一、二塁で光永は左前打を放った。相手の悪送球の間に二塁走者が生還。追加点に貢献し「点を取るために後ろにつなげた」と胸を張った。

 初めての夏の大会、初めての神宮球場での試合で響かせた快音。4番で出場しながら、つなぎ役に徹した。その後の打席で安打こそ出なかったが、4回には100メートル走11秒9の俊足を生かして二盗も記録。野球界でメジャーの舞台で「二刀流」として活躍するエンゼルス・大谷を彷彿(ほうふつ)させる身長1メートル91の長身で躍動し、初戦突破に貢献した。

 入学から野球と水泳の異例の二刀流を実現させ、昨年の全国高校総体競泳で100メートルバタフライ、400メートルリレー、400メートルメドレーリレーの3冠を達成。どちらか一方に絞るには才能があふれすぎていた。「野球はいろいろ考えて(プレー)できるのは楽しい」との思いもあり、今年の4月に水泳部顧問の竹村知洋監督に「野球を頑張りたい」と直訴。そこから野球一本に絞って今大会に照準を合わせ、結果を出した。

 団体競技と個人競技の両立。野球部82人、水泳部204人(中高合わせて)の中で過ごし「1つの部活より、たくさん仲間ができた」と言う。入学当初について野球部の福島直也監督は「幼い感じがした」、水泳部の竹村監督は「だらしなさがあり普通の高校生」と振り返るが、多くの人と関わる中で心身ともに成長。現在は両監督が「人間的に成長した」と口をそろえる。

 今後について「野球は高校でひと区切りをつけ、大学では水泳一本に絞る」と決めている。来年にはパリ五輪の選考会があるが「今の(実力の)ままでは無理だと思うので、ここ(野球)をしている。一つ先の28年(のロサンゼルス五輪)を狙っている」と言った。誰よりも努力を重ねてきた男の、熱い夏が始まった。 (高原 俊太)

 ◇光永 翔音(みつなが・しょうおん)2005年(平17)6月28日生まれ、千葉県松戸市出身の18歳。上本郷小1年時に常盤平ボーイズで野球を始める。松戸六中では京葉ボーイズでプレー。競泳は中学までダンロップスポーツクラブ北松戸に所属。得意種目は50メートル自由形と100メートルバタフライ。高校通算11本塁打。100メートル走11秒9。1メートル91、86キロ。右投げ右打ち。

 ≪弁当2つに送迎も…家族の支え≫異例の二刀流挑戦の裏には家族の支えがあった。光永は自宅のある千葉県松戸市から学校まで40分かけて通っている。母・千夏さん(47)は水泳部の朝練と野球部の練習に耐えられる体づくりのため弁当2つと軽食を毎朝作っている。努力を重ねて野球では最後の夏を迎えた息子について「いろいろな思いがこみ上げてくる」と感慨を込めた。送迎を担った父・琢真さん(49)は「自分でいろいろ考えて動くようになった」と息子の成長を喜んでいた。

 ≪野球で鍛えた下半身が水泳でも生かされた≫記者は同校野球部OB。最後の夏だった18年は守護神の役割を担い、ベスト16に入った。今回、母校を取材する機会に恵まれて光永を取材。二刀流で努力を重ねる後輩を、とても誇らしく思う。

 同校水泳部は高校総体12度の総合優勝を誇る強豪。練習場所は東京都文京区の校舎の11階だ。野球部のグラウンドは板橋区で距離はバスで約15分。施設が近かったことも光永にとっては都合がよかった。さらに水泳部の竹村監督は「彼の得意種目が短距離だから、両立ができた」と野球で鍛え上げられた下半身が、水泳でも大きな瞬発力を生んだという。多くの偶然が、異例の二刀流を後押しした。(文化社会部・高原 俊太)

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