九州北部豪雨で土石流が起きた田主丸町出身の福岡・明善バッテリーは笑顔で散る

2023年07月12日 16:21

野球

九州北部豪雨で土石流が起きた田主丸町出身の福岡・明善バッテリーは笑顔で散る
3-13で西南学院に完敗したが、お互いの健闘をたたえ合う明善バッテリーの小島(左)と林(右) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権福岡大会2回戦   西南学院13―3明善 ( 2023年7月12日    春日 )】 停滞する梅雨前線により、まだ、初戦を迎えられないチームもいる福岡大会。10日に土石流被害が発生した福岡県久留米市田主丸町出身の明善バッテリーが、1週間遅れの「開幕」を迎えた。
 左腕・林岳明(3年)と女房役の小島伯(はく、3年)は久留米市田主丸町竹野地区に拠点を置く「竹野レッズ」でコンビを組み始めた。小6からで、田主丸中時代も含めると8年目だ。この「竹野地区」が全国ニュースで何度もその地名を呼ばれたのは10日に起きた豪雨災害。土石流が地区を襲い、多くの家屋などが流され死者も出た。

 「自分の家は高台だったので大丈夫だったけど、近所の川が初めて氾濫して、雨が滝のようで友達の自宅は浸水した。土砂崩れも2キロくらい行った場所。田主丸に勝利という結果を届けたかった」と主将でもある小島はそう、悔しがった。

 この試合もまた、雨に泣かされた。2―2の3回だ。朝から降り続く雨が強くなり、林の制球が乱れる。この回に5四死球を与え5失点。林は「相手も同じ状況なので…」と言い訳にはしないが、5日に迎えるはずだった初戦は1週間遅れの12日になり、2度の休校などで調整は難航。「勝って少しでも明るいニュースを(田主丸に)届けたかったんですが…」と唇をかみしめた。

 ただ、0―2の2回無死では4番・林の左前打から1死二、三塁とし、7番の小島が右翼線へ同点の2点適時三塁打。「どうにかつなげればと思った」と小島。2人でつくった同点劇はきっと、田主丸にも届いただろう。久米正昭監督は選手たちにこう、言い続けた。「コロナと違って(雨は)待てば試合はさせてもらえる。ありがたいことだよ」。試合中に雨は上がり、太陽も顔を出した。敗れたものの、がっちり握手するバッテリーの表情は晴れやかだった。

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