明善完敗も 久留米市田主丸町出身バッテリー被災地に勇気届けた

2023年07月13日 04:00

野球

明善完敗も 久留米市田主丸町出身バッテリー被災地に勇気届けた
<明善・西南学院>完敗したが、お互いの健闘を称え合う明善バッテリーの小島(左)と林 Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権福岡大会2回戦   明善3―13西南学院 ( 2023年7月12日    春日公園 )】 福岡大会は2回戦、3回戦の3試合が行われた。停滞する梅雨前線の影響で7日遅れの初戦を迎えた明善は西南学院に3―13と完敗。10日に土石流が発生し、多くの被害が出た久留米市田主丸町出身のエース・林岳明(3年)と女房役の小島伯(はく、3年)のバッテリーは敗れたものの、2人で一時同点劇の見せ場をつくり、被災地を元気づけた。
 明善バッテリーには特別な夏になった。左腕・林と捕手の小島は久留米市田主丸町の竹野地区に拠点を置く「竹野レッズ」でコンビを組み始めた。小6からで、田主丸中時代も含めると8年目だ。この「竹野地区」が全国ニュースで何度もその地名を呼ばれたのは10日に起きた豪雨災害。土石流が地区を襲い、多くの家屋などが流され死者も出た。

 「自分の家は高台だったので大丈夫だったけど、近所の川が初めて氾濫して、雨が滝のようで友達の自宅は浸水した。土砂崩れも2キロくらい行った場所。田主丸に勝利という結果を届けたかった」

 主将でもある小島はそう、悔しがった。この試合もまた、雨に泣かされた。2―2の3回だ。朝から降り続く雨が強くなり、林の制球が乱れる。この回に5四死球を与え5失点。途中1時間24分の中断もあった。林は「相手も同じ状況なので…」と言い訳にはしないが、5日に迎えるはずだった初戦は1週間遅れの12日になり、2度の休校など調整は他校より難しかった。「勝って少しでも明るいニュースを(田主丸に)届けたかったんですが…」と唇をかんだ。

 ただ、0―2の2回無死では4番・林の左前打から1死二、三塁とし、7番の小島が右翼線へ同点の2点適時三塁打。「どうにかつなげればと思った」。2人でつくった同点劇はきっと、田主丸に届いただろう。久米正昭監督は選手たちにこう、言い続けた。「コロナと違い(雨は)待てば試合はさせてもらえる。ありがたいことだよ」。試合中に雨は上がった。敗れたが、全力を出し切ったバッテリーは互いを称えるようにがっちりと握手。2人の表情は雲間から顔を出した太陽のように晴れやかだった。(福浦 健太郎)

おすすめテーマ

2023年07月13日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム