【虎番リポート】村上 “失投”が成功の母 1軍で抑えることを強く意識させた「あの1球」

2023年09月12日 05:15

野球

【虎番リポート】村上 “失投”が成功の母 1軍で抑えることを強く意識させた「あの1球」
笑顔を見せる阪神・村上(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【虎番リポート】「失敗は成功の母」に当てはめると村上は「失投」が成功の母になった。約4カ月前の5月9日のヤクルト戦(甲子園)で村上は7回先頭のサンタナに左中間へソロを浴びて今季初黒星。開幕からの連続無失点が31回でストップした。チームはそのまま0対1で零敗。痛恨の被弾は走者なしでも間をずらすためクイック投法を駆使した1球を助っ人に仕留められたもの。捕手の外角要求がシュート回転して真ん中高めに入ってしまった。
 試合後、捕手の坂本が「クイックだと終盤は余計に球は弱くなる。そこは勉強やな」と助言していたことは取材していたが、タイミングが合わず当の村上に質問することはなかなかできずに今に至っていた。その間に名実ともに先発ローテーションの柱に急成長。意図せず“寝かせる”形になってしまったがようやく本人に“あの1球”について聞けた。

 「5月にサンタナに打たれたホームランだけど…」と切り出すと、背番号41は思い返すこともなく即座にうなずいた。「あの経験があったから今も終盤でクイックで投げる時も思い出してますね。打たれて負けましたけど、自分にとっては良い経験でしたね」。

 あの日を境に「1軍で抑えること」をより深く思考するようになったそうだ。仮に2軍戦であの球威のボールを投げても痛打されることはなかったはず。「どう1軍で抑えられるか。ボール球を振らせる、追い込んでからもったいない球を投げないようにとか、ずっと意識してます」。

 あの日、別の先輩からもベンチで声を掛けられた。「サダ(岩貞)さんからも“終盤は疲れてるから気を付けよう”と言われて。間違ってもいいように投げるのも必要だよと」。右打者なら内角、左打者なら外角とシュート回転してもボールになる球の必要性を実感した。「終盤は意識しすぎて、思い切りワンバンを投げて(坂本)誠志郎さんに迷惑かけてますけどね(笑い)」。

 この日は甲子園での指名練習に参加。次回登板予定の15日の広島戦は優勝決定の可能性もあるが「自分が決めるというよりチームが勝てばいい」と無欲を強調した。“母なる失投”を胸に刻み付け、村上はラストスパートに入る。(遠藤 礼)

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