阪神18年ぶり優勝へ、横田慎太郎さんも一緒に舞う 胴上げの瞬間に掲げるユニホーム、選手が実家から拝借

2023年09月14日 05:15

野球

阪神18年ぶり優勝へ、横田慎太郎さんも一緒に舞う 胴上げの瞬間に掲げるユニホーム、選手が実家から拝借
13日の巨人戦の3回、満塁弾を放った佐藤輝(8)を出迎える阪神ベンチ(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神4―0巨人 ( 2023年9月13日    甲子園 )】 “ヨコも一緒に舞うぞ”!阪神が18年ぶり6度目のリーグ優勝を果たした際に予定される岡田彰布監督(65)の胴上げで、今年7月に脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さん(享年28)の現役時代のユニホームを掲げることが13日、決まった。同期入団の岩貞祐太投手(32)らが鹿児島に住む横田さんの両親から背番号24を託され、最高の瞬間をともに分かち合う。
 頼れる“お兄ちゃん”たちの手に支えられ背番号24が、歓喜の瞬間に立ち会う。7月18日に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなった横田さんの訃報は、ナインを深い悲しみに包んだ。同月25日の巨人戦(甲子園)では追悼試合も実施。観戦に訪れた遺族の前で、勝利を届けることができた。

 突然の別れとなったあの日を境に、現役時代にともにプレーした多くの選手たちは“ヨコの分まで”と思いを一つにして戦い、悲願のリーグ優勝はもう目前に迫っている。

 だから最後も一緒に――。

 「最後の瞬間もヨコのユニホームがあったらなと思って」

 動いたのは、ドラフト同期入団の岩貞だった。大腸がんの闘病経験があり、横田さんと“同志”だった原口や、岩崎とも意見が一致。12日、共通の知人を通じて鹿児島に住む横田さんの母・まなみさんに意向を伝えた。まなみさんは涙をこらえて「こんなうれしいことはないです…。岩貞さんはじめ、選手みなさまの気持ちが本当にうれしいです。慎太郎は本当に幸せだと思います」と快諾。入団1年目から4年目まで着用していた「24」のユニホームが、きょう14日に甲子園へと届けられる運びだ。

 胴上げには同じく同期入団で、現在は左尺骨骨折で復帰へ向けて懸命にリハビリに取り組んでいる梅野も参加することが決定している。当日、胴上げ投手を務める可能性もある岩崎も含め、横田さんにとっては同期入団である頼もしい“お兄ちゃん”たちの手で、ユニホームが掲げられることになりそうだ。

 7月25日の追悼試合ではその3人がそろって活躍し、試合後にはウイニングボールを家族へと届けることができた。岩貞は「(同期の)3人はプレーはもちろんですが、ヨコのためにも、気持ちを示していかないといけない。僕らは10年目としてやっていて、3等分してヨコの気持ちを背負っていく」と決意し、ここまでプレーしてきた。

 最高の瞬間をともに――。歓喜の輪の中、背番号24も、チームとともに“舞う”。(遠藤 礼)

 ▽横田慎太郎氏の引退試合 19年9月26日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦(鳴尾浜)。当初は9回の1イニング限定で守備に就く予定だったが、8回2死二塁の場面で平田2軍監督(現ヘッドコーチ)から声がかかり、中堅へ。その直後、塚田の中前打を捕球すると本塁へノーバウンドで送球して二塁走者を刺した。後遺症の影響で視力が低下していたことから「全くきれいには見えなかったんですけど、グラブに入ってくれた」と話し「練習でも投げたことがない球が投げられて、今まで諦めずにやってきて本当に良かった。(現役での)ベストプレーです」と振り返った現役最後のワンプレーは「奇跡のバックホーム」と呼ばれた。試合後の引退セレモニーではチームメートから胴上げされ、宙を舞った。

 横田 慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島実から13年ドラフト2位で阪神入り。3年目の16年開幕戦に「2番・中堅」で1軍初出場。17年2月に脳腫瘍が判明、同年オフに育成選手となり19年限りで引退。1軍通算38試合で打率.190、本塁打なし、4打点、4盗塁。引退後は自身の経験を伝える講演や執筆で活躍。23年7月18日、28歳で死去。現役時は1メートル87、94キロ。左投げ左打ち。

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