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まるで「筋書きのあるドラマ」 今年のオリックスは強いだけじゃない

2023年10月15日 08:00

野球

まるで「筋書きのあるドラマ」 今年のオリックスは強いだけじゃない
9月20日のロッテ戦でリーグ3連覇を決め、インタビューで帽子を掲げて声援に応えるオリックス・中嶋監督 Photo By スポニチ
 滑り込み優勝だった過去2年と違い、ぶっちぎりの強さでリーグ3連覇を決めたオリックス。2位・ロッテと実に15・5差を付け、86勝は岡田阪神も上回る12球団最多だった。
 中嶋監督の采配は、今季も臨機応変で変幻自在。143試合で先発オーダーは135通りに上った。絶対エースの山本は別格でも、個々の選手は飛び抜けた成績は残していない。多くの選手を絶妙のタイミングとポジションで起用して勝利する戦い方は、就任3年目で名人芸の域に近づいた。一方で、節目では少々出来過ぎな“ストーリー重視”の試合も見せてきたのが今季のオリックスだ。

 3月31日の開幕・西武戦では3年目の山下をプロ初登板で開幕投手に大抜てき。勝ち星こそ付かなかったものの、延長戦を制して大器のデビューを演出した。10月2日の日本ハム戦では、日米通算250セーブの王手をかけていた平野佳の偉業を山本―山岡の豪華リレーでお膳立て。きっちり3―0の3点差で守護神にバトンをつなぎ、平野佳が山本と二人がお立ち台に上がってファンを歓喜させた。10月9日のソフトバンク戦は、今季最終戦を任されたドラフト1位左腕・曽谷が7度目の先発で待望のプロ初勝利。今後へ明るい光をともした。

 極めつけは優勝を決めた9月20日のロッテ戦だ。京セラドーム5連戦の最終戦で、ここで決めなければ敵地での胴上げの可能性もあった。19日に勝利後、普段は絶対に大きなことを言わない中嶋監督がテレビインタビューで「ここまで来たので明日しっかり勝って決めたいと思います」と言い切った。ところが、6回までチャンスもつくれず0―2と敗戦パターン。指揮官に「あんなこと言わんけりゃよかった」との思いがよぎっていたのは想像に難くない。しかし、7回に打線が一挙6点と爆発。痛快な逆転勝利を決めた後の優勝インタビューでは「7回までは“さすがにちょっとウソついたかな”と思っていたんですけど…」と苦笑いして観衆を沸かせた。

 「野球は筋書きのないドラマである」は、巨人監督などを歴任した三原脩氏の名言。ただ、今季のオリックスはまるでドラマのように「シナリオ通り進んで大団円」という試合が多かったように思う。もちろん選手の頑張りが一番の要因だが、中嶋監督はやはり凄く“持っている”と感じる。両軍がCSを勝ち抜けば、同じく“持っている”岡田監督との「関西ダービー」が実現。どんなドラマが用意されているのか今から楽しみだ。(記者コラム 山添 晴治)

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