阪神・中野 2年連続ゴールデン・グラブ賞獲得へ秘策 阪神園芸との“連係プレー”で本拠でのミス撲滅狙う

2023年12月01日 05:15

野球

阪神・中野 2年連続ゴールデン・グラブ賞獲得へ秘策 阪神園芸との“連係プレー”で本拠でのミス撲滅狙う
<第52回三井ゴールデン・グラブ賞>ゴールデン・グラブ賞を受賞する阪神・中野(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 守備のベストナインに贈られる「第52回三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式が30日、東京都内で開かれ、記者投票で選ばれたセ、パ18選手にグラブ型のトロフィーと賞金50万円が贈呈された。球団史上最多の5人が選出された阪神は、セ・リーグ二塁手部門で中野拓夢内野手(27)が初受賞。来季は甲子園球場のグラウンド整備を担う阪神園芸とコミュニケーションを深めて土の状態を日々確認し、本拠での失策数の大幅減を期す。
 金色に輝くグラブを抱え、中野は壇上で穏やかな笑みを浮かべていた。入団3年目にして初の“守勲”だ。昨秋、岡田監督の就任と同時に二塁へとコンバートされてから1年。血のにじむような努力が報われた。それも、ただの「初受賞」ではない。広島・菊池の「11年連続受賞」を防ぐ、価値ある戴冠だ。

 「コンバート1年目で自分が(菊池の)記録を止めるとは思っていなかった。いつかは止めたいと思っていたが、素直にうれしい」

 過去2年、主戦場とした遊撃とは、体の動きも打球の質も全く異なった。だが、元々送球に不安があった中野にとって、一塁までの距離が近くなる二塁への転向は心に余裕を与えた。捕球に集中でき、失策も前年の18個から9個に激減。そのうち8個は甲子園でのものだった。この事実に伸びしろを感じていると、中野は分析する。

 「ホーム球場である以上、言い訳はできない。グラウンド状態を試合前から確かめ、阪神園芸さんとも話していきながら、その日の状態を確かめたい」

 降雨に備えて黒土部分にシートをかぶせていると、剥がした後には「固くなっている」と中野は語る。自然と打球も速くなり、捕球の際に差し込まれてしまう。地の利を生かし、阪神園芸との華麗な“連係プレー”で余計なミスは撲滅したい。

 「練習から(甲子園で)ノックを受けられる。その日の天気や気温なども頭に入れながら対応していかないと、失策数は減らない」

 かつて遊撃で4度、三塁で1度、この賞に輝いた阪神OBの名手・鳥谷敬氏も、阪神園芸と密に会話し、失策数の減少につなげた。「自分もうまくコミュニケーションを取りたい」と中野。岡田阪神の信条は「守りの野球」。失策数を限りなくゼロに近づける。

 「1回獲るだけで凄いのに、これを(菊池の)10年連続で…と考えたら、相当守備の意識を高く持たないといけない。オフにダメだったところを見直して、進化してきたい」

 菊池の連続受賞に終止符を打った背番号51。自慢の好守にさらなる磨きをかけ、中野が受賞を重ねる「黄金時代」を築き上げる。(八木 勇磨)

 ○…阪神園芸で甲子園のグラウンド整備責任者を務める金沢健児氏は、助言を求められれば喜んでサポートすることを約束した。普段からコミュニケーションを取っており、「例えば遠征から戻った時は、“雨が降っていないから打球が跳ねやすいよ”といったような話はしている」とグラウンド状況を伝えている。過去をさかのぼっても、選手によって好みのグラウンドはさまざま。微妙な調整をすることもある。鳥谷については、「こうしてほしいと言わなかった選手。その日その日の状態を受け入れてプレーをしている感じだった」と振り返った。

 ▽阪神園芸 野球ファンから「神整備」と呼ばれる高い技術による阪神甲子園球場のグラウンド整備をはじめ、造園工事や緑地管理を手がける総合緑化事業会社。当初は阪神パーク(2003年閉園)の園芸部門が独立する形で1968年(昭43)9月10日設立。本社は西宮市甲子園浦風町。久保田晃司社長。従業員は約170人で阪神電鉄の100%子会社。阪急阪神ホールディングスに属し、阪急阪神東宝グループの企業。

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