MLBの競技委員会が24年シーズンに向け、スリーフットレーンのルール変更など5提案を検討中

2023年12月01日 13:41

野球

 スポーツイラストレイテッド誌のトム・ベデューチ記者が、MLBの競技委員会が来季に向け5つのルール変更を提案しているとし、それぞれについて解説している。
 一つ目はスリーフットレーンのルール。従来のルールでは一塁ベースに向かって走っている走者が、スリーフットレーンの外側を走っていて、野手の捕球動作を妨げたと審判が判断した場合、走者は守備妨害でアウトになる。しかしMLBではこのルールがきちんと適用されてこなかった。1969年のワールドシリーズ第4戦10回裏、無死1・2塁のチャンスにメッツの代打JC・マーチンがバント。一塁に向かって走っている時、投手からの送球が左手首に当たり、ボールが転々とする間に二走が生還、メッツがサヨナラ勝ちした。この時、マーチンは一塁線の内側を走っていたのに、審判は守備妨害を宣告しなかった。ベデューチ記者は「すでに50年間あるルールだったが、当時はほとんどコールされていなかった」と説明している。

 近年はそのルール絡みの判定でもめるケースが増えた。18年のワールドシリーズではドジャースのコディ・ベリンジャーの走塁が守備妨害とならず、一方で、19年のナショナルズのトレー・ターナーはアウトになった。今季6月14日、アストロズのジェイク・マイヤーズの守備妨害はコールされず、試合が終わった後、ナショナルズのデーブ・マルティネス監督は激怒、「ルールを変えるべき、もううんざりだ」と訴えている。

 ルール変更を提案したのはMLBの競技委員会の一員であるベテラン審判のミル・ミラー。走者はホームから一塁まで、土の上ならどこを走っても良いが、芝生の上はダメとしてはどうかと提案したそうだ。ただスリーフットラインはこれまで同様チョークで線を引く。捕手が3つ目のストライクを受け損ない、ボールがファールテリトリーにある時、走者がラインから離れすぎて走らないように、右側の境界線として必要なのだという。

 2つ目の提案は走者がいる時のピッチクロックを23年の20秒から18秒へと短くすること。今季、走者がいない15秒クロックの時は投手は平均で残り6・5秒から、走者がいる20秒クロックでは平均で残り7・3秒から投球動作を開始していた。だから削る余裕がある。ピッチクロックで試合の平均時間は今季2時間40分に短縮されたが、MLB機構の目標は平均2時間30分だ。

 3つ目は監督やコーチが試合中にマウンドに行く回数を、5回から4回に減らすこと。23年、マウンドに行った回数は平均で2・3回。4回を超えたのは開催試合の2%に過ぎなかった。ベデューチ記者はこれに加え、「代打が出た時に投手コーチがマウンドに行くことは5回のルールにカウントされていないが、今後はカウントすべき。そもそも代打で相手ベンチから出てくるのはせいぜい4人まで、試合前のミーティングで、4人分の情報くらいしっかり頭に入れるべき」としている。

 4つ目は内野手もベースを足でブロックしてはいけないというもの。ブルージェイズのウィット・メリフィールド内野手の提案だ、今、捕手は本塁でそれが許されないが、安全のため内野手も同じであるべきという。近年はリプレーによる予期せぬ副産物で、頭から滑る走者が増えた。足からだとベースについた後、勢い余って一瞬ベースから足が離れ、そこをタッチされて、リプレー判定でアウトになるケースが少なくないからだ。結果、22年ホワイトソックスのルイス・ロバートはベースをブロックした膝に手首をぶつけ、ケガをした。5つ目は走者がいる時は常にセットポジションから投げるというもの。特に二死三塁なら、ワインドアップで投げたい投手は少なくない。これに対し、ベデューチ記者はこれまで通り投手の投げたいように投げさせるべきと、ルールで縛ることに反対している。こういった新ルールは45日間の協議期間のあと採決となる。可決には過半数の賛成が必要だ。

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