【落合×鈴木啓示対談】野村克也氏の一発は屈辱の時間が2倍 無四球日本記録も野村氏のおかげ

2024年03月12日 17:30

野球

【落合×鈴木啓示対談】野村克也氏の一発は屈辱の時間が2倍 無四球日本記録も野村氏のおかげ
鈴木啓示氏(右)とオレ流チャンネル「博満の部屋」で対談した落合博満氏 Photo By スポニチ
 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が12日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。大好評対談企画「博満の部屋」の第6回目として、歴代4位の通算317勝を挙げた元近鉄投手・鈴木啓示氏(76=本紙評論家)をゲストに招いて対談を行った。
 南海時代の野村克也氏との思い出は、プロ1年目で出場した球宴でバッテリーを組んだ際の苦い思い出だけでは終わらなかった。「ピッチャーっちゅうのは、一瞬、一瞬にして味わう最大の屈辱はやっぱりホームラン打たれた時や。一瞬、一瞬にして味わう最高の優越感は三振取った時やねん。それが1試合になったら勝った時、負けた時になるけど、ホームラン打たれた時っていうのは、マウンドの上でピッチャーは屈辱の時間やからじーっとして立っとられへんわけやねん。汗もかいてないのに帽子を取って汗を拭く格好してみたりね。スパイクの紐もほどけてないのにわざわざほどいて結び直したりして時間を潰さないとじーっとマウンドの上におられへんねん」とホームランを打たれた投手の心境を説明した。

 そして、野村氏にホームランを打たれた時もそうして時間を潰していたという。「これでだいたいサードベースあたり回ってきたやろって見たら、セカンドベースら辺をウロウロ、ウロウロ走ってんねや。だから、屈辱の時間が普通のバッターよりも2倍長かった。速いバッターやったらさーっと回ってくんねん。だいたい私の感覚でよう打たれとったからわかんねん」とゆっくりダイヤモンドを一周する野村氏の時は屈辱の時間がより長く感じたという。

 その野村氏の存在が、歴代最多78試合の無四球試合を記録した制球力を身につけるきっかけとなった。鈴木氏が育英高3年時に野村氏が3冠王を獲得。鈴木氏がプロ1年目の1966年も打率のタイトルこそ逃したが、本塁打王と打点王を獲得するなど全盛期だった。

 その野村氏をどう抑えるかを試行錯誤した。「だから野村さんには絶対に打たれたくない。ヒットやツーベースはええと。ホームランだけ打たれたら屈辱の時間がたまらん。ホームランだけは打たれまいと覚えたのがアウトコース低めのコントロール。次、対戦するまでにアウトローのコントロールをなんとか身につけようと。球種は問わずね。カーブでもスライダーでもフォークでも、アウトローにコントロールだけつけて投げようという。困ったらアウトローやという感覚で、それを覚えた。それから野村さんにも打たれることは少のうなった。それでコントロールついて、小山(正明)さんの記録を破れたのも野村さんのおかげかなと思ったりな。鶴岡さんがオールスターに選んでもろて、野村さんとバッテリー組ませてもろて」と感謝した。

 鈴木氏は「野村さんのファンやったんや」とも明かした。「ピッチャー杉浦(忠)、キャッチャー野村でな。南海は鶴岡監督で凄い強かった。南海か西鉄が強かってん。西鉄は稲尾(和久)さんというピッチャーがおられたりな。阪急は最後強くなってきたけど、近鉄か阪急が弱かった。初完封が強い南海。人間ってわからんもんや」と当時を懐かしそうに振り返った。

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