ドジャース・大谷 打撃好調の舞台裏 “打撃の求道者”バンスコヨック打撃コーチと最強フュージョン

2024年03月12日 01:30

野球

ドジャース・大谷 打撃好調の舞台裏 “打撃の求道者”バンスコヨック打撃コーチと最強フュージョン
<ドジャース・Dバックス>ベンチでバンスコヨックコーチと話す大谷(撮影・白鳥 佳樹) Photo By スポニチ
 【オープン戦   ドジャース12―1ダイヤモンドバックス ( 2024年3月10日    グレンデール )】 ドジャースの大谷翔平投手(29)が10日(日本時間11日)、ダイヤモンドバックス戦に「2番・DH」で出場し、3打席無安打で迎えた6回に2試合連続安打となる右翼線適時二塁打を放った。これでオープン戦の打率は5割台を維持(・533)。ゴロよりも、角度をつけた飛球を狙う「フライボール革命」の第一人者であるロバート・バンスコヨック打撃コーチ(37)が、好調維持につながる練習法の舞台裏を明かした。
 メジャー経験もマイナー経験もない。異色の経歴でド軍打線を支えるバンスコヨック打撃コーチは「打者・大谷」と今春からタッグを組む。試合中もベンチで会話を欠かさない大谷を「データを好む男。試合ごとに必要なデータを集め、常に準備万端」と表現する。

 今キャンプで大谷が参加した屋外フリー打撃は4度。ほぼ室内練習場で打ち込んだ。同コーチによれば大谷のルーティンは(1)置いた球を打つ「置きティー」、(2)前方から投げてもらうティー打撃、(3)投手の映像が流れ投球を再現する打撃マシン「トラジェクトアーク」での練習の3つ。「自分自身の(スイングの)スピードや動きを数値で管理し、思い通りに動けているか確認している」と明かす。

 この日も大谷は室内練習場での調整後に試合に向かった。4回までの3打席は無安打で交代が予想されたが、今春オープン戦で初の4打席目となった6回無死一塁で、昨季68試合登板の救援左腕K・ネルソンから右翼線に適時二塁打。凡退すれば4割台に落ちていた打率も・533とした。

 バンスコヨック・コーチは17年頃からMLBを席巻した「フライボール革命」の第一人者。打撃コンサルタントのクレイグ・ウォーレンブロック氏とともに、当時の極端な内野シフトに対抗する手段として、本塁打狙いのアッパースイングを理想とする打撃理論でJ・D・マルティネス(ドジャースFA)らのブレークのきっかけをつくった。多くの強打者と接してきた同コーチも、タブレット端末などで相手の研究はもちろん、自身のデータ収集にも励む大谷を「誰よりも自分の体のことを知っている」と評する。

 大谷が開幕への目安に設定するのは50打席。ここまで雨天ノーゲームになった試合も含め21打席で、その他に実戦形式の打撃練習や最新マシンを使った室内練習で少なくても9打席に立った。5日の交代後に出場理由について「打席数を稼ぐ意味でも大事」と語ったように自己管理も徹底。開幕へ向け、準備は整いつつある。

 昨季ワールドシリーズに進んだ同地区のライバルを相手に大勝し、デーブ・ロバーツ監督も「攻撃面は本当にいい日になった」と笑う。開幕までオープン戦は残り3試合。大谷は最後の仕上げに12、13日(日本時間13、14日)の2試合に出場し、14日(同15日)にパドレスとの開幕シリーズの舞台となる韓国・ソウルへと向かう。(柳原 直之)

 ≪マルティネスらブレークで脚光≫マルティネスらのブレークで注目を浴びたバンスコヨック氏は、16年にドジャースの打撃コンサルタントに就任。内外野を守るテーラーやベリンジャー(現カブス)の活躍に尽力した。18年には同地区のダイヤモンドバックスの打撃ストラテジストに就任。翌19年に打撃コーチとしてド軍に復帰し、昨年まで11年連続でプレーオフに進出しているチームの攻撃面を支えている。

 ▽フライボール革命 「ゴロよりもフライボールの方が安打の確率が上がる」との打撃理論で、15年頃から大リーグを中心に浸透。打球速度158キロ以上で26~30度の角度で打ち出せば打率5割以上が期待できるという。この打球速度と角度の組み合わせは長打が出やすい「バレルゾーン」とも呼ばれる。打球速度が上がるほど打球角度は広がる。同ゾーン内の打球が打者の理想とされ、以前よりアッパー気味のスイングが増え、本塁打と同時に三振が激増した。

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