【スポニチスカウト部(5)】前橋育英・黒岩大翔 名将が惚れた素質、夏に開花宣言「投手として引っ張る」

2024年03月12日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(5)】前橋育英・黒岩大翔 名将が惚れた素質、夏に開花宣言「投手として引っ張る」
エースの座を狙う前橋育英の素質あふれる左腕・黒岩(撮影・柳内 遼平) Photo By スポニチ
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第5回は前橋育英(群馬)の最速139キロ左腕・黒岩大翔(3年)。侍ジャパン高校日本代表のヘッドコーチを兼任する荒井直樹監督が期待する粗削りな左腕が、最後の夏に開花する。
 近年、群馬の高校野球は高崎健康福祉大高崎が戦力的に頭一つ抜けている。それでも戦力がそのまま結果にならないから興味深い。春は20年以降4度も甲子園に出場しているが、夏は16年以降聖地から遠ざかっている。

 今年も群馬の夏を熱くする素質を秘めた好投手がいる。前橋育英のエースの座を狙う1メートル74の左腕・黒岩は「力の差は大きいと思うがチームの団結力で健大高崎を上回りたい。投手として引っ張ろうと練習をしてきました」と今夏にライバル撃破を誓っている。

 人口約9000人の嬬恋村出身。黒岩は前橋育英から、車で1時間30分以上もかかる田舎町からやってきた。嬬恋中時代に「好投手あり」の噂を聞いた荒井監督が視察したことが、進学のきっかけだった。13年夏に全国制覇に導いた名将は「投げっぷりが良くボールに力がある。これから伸びる」と素質にほれこんだ。黒岩も、選手に向き合う荒井監督の下で野球をやることを強く望んでいた。

 勝負強い打撃も光る。1年秋にベンチ入りすると打力を生かして外野手としても活躍し、昨秋は背番号7をつけた。だが、投手としての成長を誓った冬の期間はウエートトレーニングに励み体重が5キロ増の76キロとなり「145キロは出したい」と見据える。足を高く上げないクイック気味に投じるフォームに修正したことで、安定感も向上。大きな反動をつけないフォームにもかかわらず力強い直球の秘密は下半身の強さにあった。

 黒岩の実家はキャベツ農家で「野球のグラウンド6個分」ほどの広大な農場を持つ。小学生の頃の夏休み期間は深夜1時に起き、収穫の手伝いをした。収穫したキャベツを箱に詰め、不安定な土の上を何度も往復して運んだ。自然と鍛えられた下半身から鋭い直球を生む「キャベツ投法」がこの夏、群馬に旋風を巻き起こすかもしれない。(柳内 遼平)


 ☆球歴 嬬恋村立西部小2年から野球を始め、嬬恋中時代は軟式野球部に所属。前橋育英では1年秋からベンチ入りし、昨秋は背番号7。高校通算5本塁打。憧れの選手はドジャース・大谷

 ≪群馬に好投手ズラリ ライバルたちに対抗心≫ 今年の群馬には楽しみな好投手がそろう。高崎健康福祉大高崎は「スーパー2年生コンビ」に注目。右腕・石垣元気は最速148キロの直球と「消える」ように変化するカットボールが武器。最速146キロ左腕・佐藤龍月は卓越した投球術を備える。前橋商は1メートル90の大型右腕・清水大暉(3年)を擁する。ポテンシャルは一級品で最後の夏に大暴れしそうだ。好投手たちの成長が嫌でも耳に入る黒岩は「“負けないぞ”という気持ちを常に持っている」と闘志を燃やした。

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