「岡田ルール」MLBが逆輸入!日本基準を初導入 NPB審判長「他の国も倣っていくのではないか」

2024年03月12日 02:30

野球

「岡田ルール」MLBが逆輸入!日本基準を初導入 NPB審判長「他の国も倣っていくのではないか」
8月18日のDeNA戦で9回、二盗を試みた阪神の代走・熊谷は一度はセーフの判定もリプレー検証でアウトに Photo By スポニチ
 プロ野球で昨年9月から運用が始まった判定基準の「ブロッキングベース」が、今季から大リーグでも導入されることとなった。日本野球機構(NPB)の森健次郎審判長(60)が11日、明かした。大リーグが日本球界の基準を取り入れることは初めて。守備側の走塁妨害について阪神・岡田彰布監督(66)の訴えから採用され、通称「岡田ルール」とも呼ばれ、画期的な米球界への“逆輸入”となった。
 「ブロッキングベース」は、守備側の野手が向かってくる走者に対し、走路を完全にふさいでいた場合、故意ではなく不可抗力であってもタイミングを見てセーフとする新たな判定基準だ。従来は野手がふさいでも、不可抗力と判断されればアウトだった。昨年9月の実行委員会で承認され、運用が始まった。シーズン中の基準変更は極めて異例だった。

 それ以上に異例なのが、日米球界間での基準の“逆輸入”だ。野球のルールや新たな基準は、大リーグでまず導入され、数年後に日本球界でも採用されるのが通例だった。森審判長は「初めてのことと認識しています」と本紙の取材に答えた。「日本が導入して、MLB(大リーグ)は驚いていたと聞きました。今までは不可抗力でしたが、限りなく妨害に近かった」と続けた。

 発端となったのは岡田監督の猛抗議だった。昨年8月18日のDeNA戦で熊谷が二盗に失敗。その際、送球がそれ、ベースカバーの京田がベースをふさぐような形で捕球した。岡田監督は5分以上も抗議したが覆らず、翌日には球団として意見書を提出。選手の故障にもつながりかねないプレーでもあり、12球団で“岡田ルール”の採用へ一致した。

 既に大リーグではオープン戦から運用開始されている。9日のドジャース―レンジャーズでは、5回2死でレ軍のヒルが右翼線へ打球を飛ばした。二塁を狙って頭から滑り込み、送球を受けたベースカバーのベッツが余裕を持ったタイミングでタッチしたが、走路をふさいでいたとして即座に塁審が走塁妨害として「セーフ」を宣告した。全30球団へ新解釈の運用は通知されているが、思わずベッツは困惑した表情を浮かべていた。

 「NPBが踏み切ったことで、他の国も倣っていくのではないでしょうか」と森審判長。今後、国際大会や韓国、台湾、オーストラリアなどのリーグでも運用の輪が広がる可能性は十分ある。

 ▽“岡田ルール”の導入経緯 昨年8月18日のDeNA戦の9回1死一塁で代走・熊谷が二盗を試み、ベースカバーの遊撃・京田と激突。当初セーフの判定が、三浦監督のリクエストで覆りアウトになった。責任審判の三塁・敷田直人審判は場内放送で接触は不可抗力と説明。走塁妨害を主張する岡田監督が猛抗議し、翌日には阪神がNPBに意見書を提出した。9月4日の実行委で「ブロッキングベース」として判定基準の変更が決定し、翌日から適用する異例の措置が取られた。

 ▽米球界から輸入された主なルールや解釈

 ☆セーブ 大リーグで1969年に正式な公式記録となり、日本では74年に両リーグで導入。

 ☆DH制 ア・リーグが人気浮上のために73年に採用。22年から両リーグに。日本ではパ・リーグが2年遅れの75年に採用した。

 ☆リプレー検証 大リーグは08年に導入。14年から「チャレンジ」制度となった。日本では09年に試験導入され、10年から本塁打に限ってスタート。18年から「リクエスト」制度となりリプレー検証を求めることが可能に。

 ☆偽投禁止 三塁へのけん制球を投げたふりをする「偽投」が大リーグでは13年に禁止に。その場合はボークとなる。日本では14年から。

 ☆コリジョンルール 走者と捕手による本塁での激突を防止するルール。大リーグでは14年、日本では16年に導入。二塁での併殺崩しを狙った同ルールも大リーグで16年、日本では17年に導入。

 ☆申告敬遠 ボールを1球も投げずに意図的に打者に四球を与えるルール。大リーグでは17年、日本では18年に導入。

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