尾崎の3秒!逆転五輪 レスリング女子慶大生初! 「実感湧かない」大まくり劇

2024年01月28日 04:50

レスリング

尾崎の3秒!逆転五輪 レスリング女子慶大生初! 「実感湧かない」大まくり劇
プレーオフを制し喜ぶ尾崎(撮影・西尾 大助) Photo By スポニチ
 【レスリング パリ五輪代表選考会女子68キロ級プレーオフ ( 2024年1月27日    東京・味の素ナショナルトレーニングセンター )】 昨年の全日本選手権女王の尾崎野乃香(20=慶大)が同年世界選手権5位の石井亜海(21=育英大)を5―4で下し、初の五輪代表に決まった。主戦場だった62キロ級で五輪代表を逃した尾崎だが、唯一代表が決まっていなかった6キロ重い68キロ級に転向し、大逆転で選考レースを制した。レスリング女子では慶大生初の五輪代表という快挙のおまけ付き。女子は全6階級の代表が出そろった。
 絶体絶命の窮地を救ったのは、小学校時代から数え切れないほど重ねてきた片足タックルだった。終盤に3―3で並ばれ、チャレンジに失敗して3―4に。残り時間は9秒89。尾崎は「もう行くしかない」と意を決し、鋭いタックルからバックに回り残り3秒で5―4と逆転。そのままブザーが鳴ると言葉にならない歓喜の雄叫びを上げた。

 「何とも言えないというか、夢に一歩近づいたという感覚はまだない。実感は湧かないが、めっちゃうれしい」。頭脳明晰(めいせき)な慶応ガールが試合直後は感情をうまく表現できなかった。

 パリへの道のりそのものが、試合と同じような大逆転劇だった。62キロ級では初出場だった21年世界選手権で3位、翌22年は東京五輪金メダルの川井友香子との代表争いを制し、本番では初の世界一。だが元木咲良との代表争いに敗れ、唯一決まっていなかった68キロ級転向を決意したのは昨年9月。わずか4カ月で“大まくり”に成功し「トレーニングや練習は間違っていなかった」と胸を張った。

 母・利佳さんは「昔からここって時の集中力は凄い」と話す。レスリング一本の人生にならないようにと慶大に進学。試合前日もリポート提出があったそうで、リアル文武両道の末に五輪切符を獲得した愛娘に「本当に良かった。新しい応援グッズを作らないと」と声を弾ませた。

 この日の体重は66・5キロ。68キロ級では国際大会の経験もないが、裏を返せば伸びしろだ。「私にはできると心の底から思う」。逆転の慶応ガールが金メダルへと突き進む。

 ≪石井、終盤逆転も涙「現実を受け止められない」≫敗れた石井はマットを降りると伏しておえつを漏らした。世界選手権5位で出場枠を獲得したものの、メダルを逃したために代表入りは持ち越し。昨年の全日本初戦で尾崎に完敗すると、この日のプレーオフでは残り10秒で逆転するも、「気づいたらやられていた」と逃げ切りに失敗。涙は10分以上止まらず、「現実を受け止められない。ただ野乃香にはちゃんと“頑張って”と伝えたい」と声を絞り出した。

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