【内田雅也の追球】高まる「143分の1」と「ワンプレー」の重要性 だからこそ、基本にかえりたい

2023年07月23日 08:00

野球

【内田雅也の追球】高まる「143分の1」と「ワンプレー」の重要性 だからこそ、基本にかえりたい
<ヤ・神>初回、宮本の打球を捕球し損ね、内野安打となった中野(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神3―6ヤクルト ( 2023年7月22日    神宮 )】 オールスター明けの公式戦再開とはいえ、開幕は開幕である。どのチームも気分を新たに、開幕戦に臨みたい。首位を行く阪神も故障の近本光司が復帰し、ベストメンバーを組んだ。
 3月31日の本当の開幕戦とほとんど同じ先発メンバーだった。8番・遊撃手が小幡竜平から木浪聖也に代わっただけだった。監督・岡田彰布の「このメンバーが中心となって戦う」との意志が見えるようだ。

 ところが、エース青柳晃洋が期待を裏切り5回5失点で降板となった。

 少し気になったのは内野の守備体形だ。1回裏1死三塁でこの夜3番の宮本丈を迎えた際、前進守備のバックホーム体形を敷いた。宮本のゴロは強く二塁を襲い、中野拓夢がはじいて(記録は安打)1点。2死後、ドミンゴ・サンタナの左中間安打で宮本まで還って2点目を失った。「1点OK」の深い守備位置なら1失点ですんでいた。

 同じ宮本を無死三塁で迎えた3回裏、今度は深く守って遊ゴロ、1点を渡した。無死で前進守備はないだろうが、どうもかみ合わなかった。

 いや、それ以前に1回裏は無死一塁で青柳のけん制悪送球で無死三塁としなければ、無失点ですんでいた。立ち上がり無失点ならば、その後の投球も違っていただろう。

 それでも終盤の粘りは見応えがあった。7回表2死後、森下翔太、梅野隆太郎の長短打で3点。9回表も1死満塁と同点の走者まで出した。諦めない姿勢は明日につながると信じたい。

 「開幕戦は他のどのゲームとも違う。胸の鼓動は高まり、特別な興奮状態にある」と大リーグ通算300勝、殿堂入りの名投手、アーリー・ウィンが語っている。続けて「もし開幕戦に勝つことができれば、そのシーズンはもう全敗はしないということだ」。つつましい考え方に勝負の世界の厳しさが映る。

 逆に開幕戦に敗れた場合は「143分の1」だと思えばいい。

 ただし、後半戦開幕とはいえ、残りはもう58試合となった。「143分の1」の重要性は今後、ますます高まってくる。

 敗戦後、岡田は青柳のけん制悪送球やバントでの三塁ベースカバー、大山悠輔の走塁判断などを例にあげ「普通にやればいい」と言った。1試合、ワンプレーの重要性が高まるほど、基本にかえりたい。=敬称略=(編集委員)

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