山梨学院 選抜優勝校悲運終戦…エース林が再登板も延長10回タイブレークで5失点「実感が湧かない」

2023年07月23日 05:00

野球

山梨学院 選抜優勝校悲運終戦…エース林が再登板も延長10回タイブレークで5失点「実感が湧かない」
<山梨学院・駿台甲府>10回、ボークにがっくりする山梨学院・林 Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権山梨大会準決勝   山梨学院7―9駿台甲府 ( 2023年7月22日    山日YBS )】 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は22日、29大会で110試合が行われた。山梨大会では今春選抜優勝校の山梨学院が、準決勝で駿台甲府に7―9で敗退。選抜優勝投手のエース・林謙吾投手(3年)が延長タイブレークとなった10回に一挙5失点した。選抜準優勝の報徳学園も兵庫大会で敗退しており、選抜優勝・準優勝校がそろって地方大会で敗退するのは08年以来15年ぶりとなった。
 一塁側の山梨学院応援団から悲鳴が上がった。無死一、二塁からの延長タイブレークに突入した10回の守備で既に4失点。なお2死一、三塁から右腕・林が投球モーション中に手からボールを落とした。一塁側に転がるボール。無情にも審判員の「ボーク!」のコールが響く。満塁弾でも追いつけない致命的な5失点目だった。

 「自分が抑えていれば勝っていた…できればもう一回甲子園で野球がしたかった。実感が湧かない。勝つこと以外、頭になかった」

 難攻不落の右腕が落城した。今春の選抜では6勝を挙げたエース・林は先発し、5回1/3を8安打4失点。6回途中から一塁の守備に回ったが、延長10回のタイブレークから再登板。だが、1失策を含む3連続の拙守も絡んで5点を献上。その裏3得点の反撃も及ばず、2季連続甲子園優勝の夢は散った。

 不運が重なった。初戦の身延戦で林が頭部死球を受けて搬送された。3回戦の甲府西戦で救援し復帰。投球に「全くデッドボールの影響はなかった」と語ったが、この日は8回に正捕手の佐仲大輝(3年)が顔面死球で負傷交代。扇の要を失いリズムに狂いが生じた。

 3時間54分に及んだ熱戦の末に敗れ、吉田洸二監督は「準備万全で臨んだ。後悔のない負け」と潔かった。選手には感謝の言葉を伝え、「選抜で優勝した瞬間から、夏の大会が終わったら“ありがとう”と伝えようと思っていた」と語った。

 選抜準優勝の報徳学園に続いて優勝校の山梨学院も姿を消した。春の優勝校と準優勝校の地方大会敗退は、08年に選抜優勝の沖縄尚学と準優勝の聖望学園(埼玉)が敗退して以来、15年ぶりという波乱。大学で野球を続ける予定の林は「次に向けてというのは難しい…」と現実を受け止められず。甲子園への険しい道に王者が阻まれた。(柳内 遼平)

 ◇林 謙吾(はやし・けんご)2005年(平17)7月30日生まれ、東京都出身の17歳。舎人第一小1年時に野球を始める。駿台学園中では軟式野球部に所属し、1年時に夏の全国大会で4強。山梨学院では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒6。遠投100メートル。1メートル78、81キロ。右投げ右打ち。

 ▽山梨学院の今春選抜 2年連続6度目の出場を果たし、報徳学園(兵庫)との決勝では5回に一挙7点のビッグイニング。7―3で制し、山梨県勢では春夏通じて初優勝となった。6試合連続で先発したエース林は、準決勝、決勝の2戦連続など計4完投、51回2/3で696球を投げ抜き、選抜史上最多の6勝をマーク。吉田洸二監督は清峰(長崎)での09年春に続く選抜制覇で、史上4人目となる複数校での甲子園大会制覇となった。

 ≪「幸運のペン」中沢マネも涙≫記録員としてベンチ入りした中沢日瑚(にこ)マネジャー(3年)は敗戦後、大粒の涙が止まらなかった。選抜で勝利した6試合のスコアを書いた幸運のペンを使用したが、実らなかった。将来の夢を「アスリートを支える仕事をしたい」と語り、「大事な経験をたくさんすることができました」とチームに感謝した。

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