「謝られることじゃない」阪神・近本の笑顔に想起した金本VS岩瀬 あの2人のような関係になってほしい

2023年07月26日 08:00

野球

「謝られることじゃない」阪神・近本の笑顔に想起した金本VS岩瀬 あの2人のような関係になってほしい
<神・巨> 高梨(右)の謝罪に笑って応える近本(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神4―2巨人 ( 2023年7月25日    甲子園 )】 【畑野理之の談々畑】試合前、近本光司が走塁練習をしているところへ、巨人の高梨雄平が駆け寄ろうとしたが、にっこり笑って、両手で“来なくていいですよ”のジェスチャーで制していた。2日の対戦で右脇腹に死球を受け、右肋骨を骨折。電話では一度謝罪されているが、直接会って頭を下げに来たのだろう。「別に謝られるようなことじゃないです。ボクがケガをしただけの話。高梨さんが悪いことをしたわけではないので」。野球の試合で起こったこととして納めていた。
 同じ言葉を聞いたことがある。04年7月29日の中日戦で、金本知憲が岩瀬仁紀から左手首に死球を受け、骨折した。当時はまだ、連続試合フルイニング出場の途中。翌日に謝罪した岩瀬が「金本さんには“謝ることじゃない”って言われました。でも、連続出場の記録が懸かっているし申し訳なくて…」とやりとりを明かす。

 2人には、まだ続きがある。約1カ月後の9月2日に対戦した際、岩瀬が初球、内角シュートを投げたが引っかかって外角へ力のないボールとなった。すぐに捕手の谷繁元信がタイムを取ってマウンドへ。「そりゃあ内角球に投げにくかったですよ。でもすぐに谷繁さんから“何逃げとんじゃあ”って怒られました。やっぱりボクは内角に投げ込まないと打ち取れないですから」

 金本もこのシーンを覚えている。「初球はふわっと来たのに、谷繁がすごい怖い顔しとったから怒ったんだろうね。2球目からすごいいい球になった(笑い)」。カウント2―1から、その内角シュートに詰まらされて二ゴロ。「後日、岩瀬に言うたんよ。“もう一回当ててこい”って。外に逃げたボールばっかりやとオモシロないやんって」

 金本は世界記録となる1492試合連続フルイニング出場、通算2539安打、476本塁打、名球会、野球殿堂入り。岩瀬もプロ野球最多の1002試合登板、同407セーブ、名球会入り。阪神の主砲と、中日の守護神はその後も「内角」の攻防を繰り広げた。

 ぶつけて骨折させた高梨が謝りに来た心情は察する。でも死球は野球ではふつうに起こることとした近本の言葉はすがすがしくカッコよかった。阪神の1番打者と巨人の変則左腕。この日のマッチアップはなかったが、両選手とも鉄人と鉄腕のような関係になってほしい。

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