トヨタ自動車が連続日本一 “社会人野球のエース”嘉陽が涙の橋戸賞 「勝手に出てきた。ホッとした」

2023年07月26日 05:10

野球

トヨタ自動車が連続日本一 “社会人野球のエース”嘉陽が涙の橋戸賞 「勝手に出てきた。ホッとした」
<ヤマハ・トヨタ自動車>優勝し歓喜の嘉陽(中央左)らトヨタ自動車ナイン(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【第94回都市対抗野球最終日決勝   トヨタ自動車4―2ヤマハ ( 2023年7月25日    東京D )】 トヨタ自動車(豊田市)がヤマハ(浜松市)との史上3度目の決勝での東海勢対決を制し、16年以来、7年ぶり2度目の優勝を果たした。先発した嘉陽宗一郎投手(27)が7回4安打1失点と好投し、いずれも完投した1回戦、準々決勝に続いて大会3勝目。昨秋の日本選手権に続く社会人2大大会連続優勝に導いて最優秀選手賞に当たる橋戸賞に輝き、2大会連続のMVPとなった。
 嘉陽の頬から涙がこぼれた。史上3度目の東海勢決勝対決を制した試合後の整列。「勝手に出てきたという感じ。ホッとしたし、うれしかった」

 初回は2者連続三振と最高のスタート。最速150キロの直球を軸に攻めた。2回1死満塁のピンチは直球狙いの吉田にチェンジアップを打たせて二ゴロ併殺打。5回、大本に右越えソロを喫したが、最少失点にとどめた。

 決勝戦の7回4安打1失点を含めて今大会3戦313球を投げ、3勝で橋戸賞を獲得。1回戦と準々決勝はいずれも完投勝利だった。昨秋の日本選手権でもMVPに輝いており、2大大会連続での栄冠は12年の大城基志(元ENEOS)以来、史上2人目の快挙だ。

 あくなき向上心が進歩の源となった。ドラフト指名されず、プロ入りの夢を諦めた3年前。気落ちするどころか、川尻投手コーチとフォーム改造に踏み切った。オーバースローからサイド気味に変えると球速も徐々にアップ。「ボクに合っている」と手応えをつかんだ。目標は1回り年上で社会人ベストナイン2度受賞を誇るミスター・トヨタ、佐竹の後を継ぐこと。試合後、熱い抱擁を交わした佐竹も「トヨタのエースはチームを勝たせること。苦労して試行錯誤しながら、2年前くらいから力がついてきた。エグいボールを投げる」と成長を認めた。

 ただ、まだ終着駅ではない。チームの目標は1950~52年に3連覇した全鐘紡に続く都市対抗3連覇だ。「今日は喜びますけど、明日から連覇へ切り替えてやります」。5試合無失策で切り抜けた鉄壁のバックとともに、「社会人のエース」に君臨しつつある嘉陽が歩む無敗ロードは、力強く勢いを増した。(伊藤 幸男)

 《3度目東海決戦制す》○…決勝の東海勢対決は史上3度目だった。東海勢の決勝での初対戦は94年で、本田技研鈴鹿(鈴鹿市)が西濃運輸(大垣市)を下して初優勝した。01年は河合楽器(浜松市)が、三菱自動車岡崎(岡崎市)に勝利して初優勝。今年は東海地区の第1代表・トヨタ自動車と第2代表ヤマハによる決戦となった。

 ◇嘉陽 宗一郎(かよう・しゅういちろう)1995年(平7)11月15日生まれ、沖縄県出身の27歳。宮里小2年から野球を始め、宮里中では軟式野球部。松山聖陵では2年秋からエースで、3年夏の愛媛大会4強が最高戦績。亜大では東都大学リーグ戦通算10勝4敗。同期は巨人・北村拓ら。1メートル87、87キロ。右投げ右打ち。

 ▽トヨタ自動車 1937年(昭12)8月28日創立。資本金6354億円(23年3月現在)で、23年3月期の売上高は約37兆1542億円。従業員数は7万56人(同)。本社は愛知県豊田市トヨタ町1。豊田章男会長。佐藤恒治社長。野球部は47年創部。主なOBは元ヤクルト監督の古田敦也氏、西武・源田ら。

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