16戦連続無失点の阪神・岩崎 台風被害の恩人に力投プレゼント 「誰かのために、がモチベーションに」

2023年08月10日 06:45

野球

16戦連続無失点の阪神・岩崎 台風被害の恩人に力投プレゼント 「誰かのために、がモチベーションに」
<巨・神> 最後を締めた岩崎(左から2人目)はナインとハイタッチをかわす(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神5-2巨人 ( 2023年8月9日    東京D )】 阪神は、9日の巨人戦」で延長11回の死闘を5―2で制し、今季3度目の6連勝。今季最長タイの5カード連続勝ち越しを決め、巨人の自力優勝の可能性を消滅させた。2位・広島とのゲーム差は4・5に開き、最短で15日に優勝マジックが点灯する。岩崎優投手(32)が最後を締め、16試合連続無失点で今季22セーブ目。昨年9月に台風による豪雨の被害を受け、自身が支援に動いた地元・静岡の枝豆農園を営む先輩が観戦する中で、仕事を果たした。
 連投の疲れも感じさせない涼しい顔で、岩崎は任務を全うした。

 「良かったです。(連続無失点は)一試合、一試合です」

 延長11回の攻撃で3点勝ち越し、最後を締めるマウンドでも油断はなかった。先頭の岸田に中前打を許したものの、オコエを3球三振。好調の岡本和はスライダーで芯を外して捕邪飛に仕留めると、最後は代打・坂本を5球目の直球で空振り三振に斬った。

 6月28日の中日戦から続く連続無失点は「16」まで伸び、7月1日の巨人戦から12連続でセーブ機会に成功。大事な夏場に“無双”し、今季最多を更新する貯金20につなげた。貢献し続ける左腕は「良かったですね。こういう試合を増やしていきたい」と、救援陣が粘りながらもぎ取った勝利に力強くうなずいた。

 どうしても投げたい、抑えたい理由も少なからずあった。この日、地元・静岡で小、中の先輩だった瀧戸諒さんがスタンドで声援を送っていた。昨年9月、瀧戸さんが静岡で営む枝豆農園「瀧戸農園」が台風15号による大雨で浸水。ビニールハウス1棟分の農作物の被害や、大型ボイラーの損壊など収穫継続の危機に陥った。プロ入り後から枝豆を送ってもらい「本当においしい。普通の枝豆と全然違う」と口にしてきただけに、力になりたかった。同農園が昨年11月に経営継続の協力を募るクラウドファンディングを開始すると真っ先に支援金を寄付。瀧戸さんにも「万が一目標額に達しなくても、その分は私が出しますので」と激励した。

 「あのおいしい枝豆を元通りに収穫できるようになってほしかったので、自分にできることはやろうと」

 その後、目標額に達成し、追加の支援は必要なくなったものの瀧戸さんは「“俺が払うから”と言ってくれて。その男気というか、言葉に心が震えました」と感謝する。人生初の阪神戦観戦という先輩に目の前で快投も示した背番号13の見事なグラウンド外での“好救援”でもあった。

 普段は言葉数は少なくても、秘める思いは強い。「誰かのために、とかそういう部分が自分のモチベーションになっているので」。今はチームのため、頂点に上り詰めるまで力の限り腕を振る。 (遠藤 礼)

【岩崎データ】
 ○…岩崎(神)は6月28日の中日戦から16試合連続無失点。今季は4月8日から6月5日の17試合に次ぐもので、自己最長は20年8月30日から10月30日の18試合。また7月30日の広島戦からは6試合連続セーブで、昨季5月27日から6月11日の6試合に並ぶ自己最長としている。

【優勝マジックデータ】
 〇…阪神が今季3度目の6連勝で、貯金を今季最多の20とした。この日、巨人の自力優勝の可能性が消滅。最短15日にも現在2位の広島の自力優勝が消え、阪神に優勝へのマジックナンバーが点灯する。点灯条件は複数あるが、きょう10日から15日の直接対決まで、それぞれ5試合を阪神が全勝、広島が全敗した場合は、期間中のDeNAの勝敗次第でM28~30のいずれかが点灯する。

【阪神チームデータ】
 ○…阪神は今季2度目の5カード連続勝ち越し。8月1日の長期ロード突入から3カード連続の勝ち越しは、15年の4カード連続以来8年ぶり。
 ○…貯金20到達は21年以来2年ぶり。シーズン100試合目で、前回21年は60試合目の到達。最近の優勝年では03年55試合目、05年87試合目とペースは遅いが、日本一の85年は105試合目と今回より遅かった。

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