何年経っても変わらぬ「脇役キャラ」中日・大島 偉業の日だけは華やかな主役に

2023年08月17日 08:00

野球

何年経っても変わらぬ「脇役キャラ」中日・大島 偉業の日だけは華やかな主役に
中日・大島 Photo By スポニチ
 中日・大島の2000安打の大記録が目前に迫っている。入団時の担当だった自分は、プロ入りの夢をかなえたばかりの当時24歳の若者の言葉が今でも忘れられない。
 「僕は“脇役キャラ”なんで。地道に長くやっていけたら、と思っています」

 大卒(駒大)、社会人(日本生命)を経ての偉業達成なら、史上4人目。社会人出身らしく、初めて会った時から落ち着いた物腰が印象的だった。09年12月の入団会見には妻の真世さんと、まだ生後6カ月だった長男・慶士くんを連れて出席。途中で慶士くんが泣き出し「ずっと子どもが心配で、そっちばかり見ていました」と照れ笑いで振り返る微笑ましい会見だった。

 あれから14年。再び中日を取材する機会を得た記者の、彼への印象は全く変わらない。控えめながら絶対に芯がぶれない性格。外見やプレースタイルもこんなに不変な選手も珍しい。もちろん、新しい技術や練習法を積極的に取り入れてきたのも知っている。それでも、全体像は若き日のまま。自分から周りに何か言うタイプではないが、以前なら平田良介氏、今は高橋周平のようなどちらかというとやんちゃな後輩から慕われる。食事の席で「お前の言うことも分かるけどな。こういうのもあるんちゃう?」とさりげなく助言する姿も変わらない。

 今思えば「脇役キャラ」と自称したあの頃から、自身がプロで生きていく道がよく見えていたんだと思う。盗塁王(12年)や最多安打(19、20年)のタイトルも獲得し、16年にサイクル安打も達成した。一方で13年に左肘を手術、17年には右足骨折などのケガも乗り越えた。超一流のキャリアに疑いないが、不思議と「スター街道」を歩んできたイメージはない。若手時代から地に足を着け、自身のスタイルを崩すことなく積み上げてきた金字塔だと思う。

 個人的に願っているのは“勝ち試合で打って!”ということ。投手の200勝とは違い、2000安打は勝敗と無関係。今世紀の中日で達成したのは、03年立浪、13年谷繁、15年和田、17年荒木の4人で、チームの勝敗は○●○●。順番通りなら白星のはず!?快挙達成の日ぐらいは、晴れやかな笑顔でスポットライトを独占してほしい。(記者コラム・山添 晴治)

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