【内田雅也の追球】得点呼んだバントと好判断 ベーブ・ルース命日に一丸体現

2023年08月17日 08:00

野球

【内田雅也の追球】得点呼んだバントと好判断 ベーブ・ルース命日に一丸体現
<広・神>2回無死一、二塁、坂本は一前犠打を決める影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神5―3広島 ( 2023年8月16日    マツダ )】 阪神監督・岡田彰布は評論家時代、送りバントについて「1球でポンと決まると、点が入りそうな気がするもんなあ」と話していた。特に根拠があるわけではない。長年の経験と感覚でつかんだ法則のようなものだ。
 この夜、坂本誠志郎が決めた2つの送りバントが生きて得点を重ねた。

 1点先取された直後の2回表無死一、二塁で1球ファウルの後、投前に転がし1死二、三塁とした。9番は投手(大竹耕太郎)なので次打者・木浪聖也に期待した作戦である。木浪は期待に応え左前に同点打を放った。

 2死後、近本光司、中野拓夢が連続適時打に敵失もあり、一挙4点のビッグイニングとなった。

 9回表も無死一塁で坂本が送りバントを初球で決め、2死後、代打・原口文仁の中前適時打を呼んだ。バントがすんなり決まれば点になるのだ。

 もう一つ、書いておきたいのは走塁だ。2回表の4点目。2死二塁から中野が右前打を放った。右翼手・野間峻祥が打球を捕った時、二塁走者・近本はまだ三塁ベースに達していなかった。三塁ベースコーチ・藤本敦士は腕を回し、本塁突入を指示していたのだ。

 本塁は悠々セーフだったので目立たないが好判断である。試合後、藤本に問うと「僕の中では簡単な判断ではなかったです」と正直に話した。

 「回した理由はいくつかあります。守備位置がやや深く、打球が速かったので外野手は強いチャージができないと思ったこと。天然芝でバウンドする送球が緩むこと。それから2死だったこと。もっと際どいセーフかなと思っていました」

 前夜(15日)も同じ2死二塁、佐藤輝明の右前打の時も野間捕球時、二塁走者・森下翔太は三塁手前だったが「回れ」を指示。得点を呼んでいた。

 9回表は1死二塁、木浪の左飛で二塁走者・熊谷敬宥が判断良く三塁を奪った。走者三塁で相手バッテリーはフォークが使いづらい。原口は直球狙いで打ち返した。

 藤本は「二塁のままなら外野前進でタイムリーになっていなかったかもしれない」とたたえた。

 得点にはバントと好判断の走塁が絡んでいた。この日は「球聖」ベーブ・ルースの命日だった。1948年、がんのため53歳で逝った。「チームが全体としてどうプレーするかが成功と失敗を分ける」と一丸をうたう言葉を残している。優勝マジックをともした今の阪神である。 =敬称略=(編集委員)

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