もう一人の虎戦士・横田慎太郎さん 宙舞う「24」に母・まなみさん感涙「ベンチで一緒に声出ししていた」

2023年11月07日 05:00

野球

もう一人の虎戦士・横田慎太郎さん 宙舞う「24」に母・まなみさん感涙「ベンチで一緒に声出ししていた」
<オ・神>胴上げされる岩崎(撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 日本一に輝いた阪神のOBで7月に脳腫瘍のため他界した横田慎太郎さん(享年28)の母まなみさんが6日、本紙の取材に応じた。守護神・岩崎の胴上げでは背番24の横田さんのユニホームが一緒に宙を舞い「(阪神は)一番強い男の集団、そして本当に温かい。そこに慎太郎も参加させてもらって感謝しかありませんでした」と思いを明かした。
 5日は夫で元プロ野球選手の真之さん、そして仏壇の慎太郎さんと“3人”で自宅観戦。試合開始前にベンチに向かうナインが通路に飾られた慎太郎さんのユニホームを触っていく様子が球団の公式SNSで映し出されると涙があふれた。リーグ優勝時は「慎太郎はどこにいるのかな?」と感じていたというが「今回は選手たちの熱量に吸い寄せられてベンチで一緒に声出しをしていたように感じました」と言う。

 優勝が決まると、同期入団の梅野がユニホームを手にマウンドへ向かい、同じく同期の岩崎がユニホームを手に3回宙を舞った。祝勝会場へと向かうバスにも、ビールかけの会場にも持ち込まれた。まなみさんは「慎太郎はビールかけをしたがっていたので、これで心置きなく(天国に)帰っていけたと思います」と笑顔を見せた。続けて慎太郎さんが連覇を信じているとし「来年の外出届を(天国に)出してると思いますよ」と思いをはせた。

 きょう7日には、まなみさん目線で描かれた母子の闘病記「栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24」(幻冬舎)が発売される。「奇跡のバックホーム」が話題になった引退試合後の闘病生活で一度は目標を失うも「元気になって、苦しんでいる人の力や希望になりたい」との思いで奮い立ち、必死に闘病し講演会で自身の経験を伝えていく姿などが鮮明に記されている。

 プロ野球選手は夢や希望を与える職業。最後までその使命を果たそうとした慎太郎さんの姿にまなみさんは「親孝行でした」と声を震わせ「(読者に)そんな姿から少しでも何か感じてもらえたら」と願っている。


 ▽栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24 作家の中井由梨子さんが、まなみさんから聞いた数々のエピソードを基にしてつづった作品。全261ページにわたり、慎太郎さんが野球を始めた幼少期やプロ入り前の高校時代のエピソードも記されている。壮絶な闘病生活にともに向き合ったまなみさんは「慎太郎の諦めずにコツコツ積み重ねる、どんな状況でも立ち向かう強さを感じました」と口にした。

 ▽奇跡のバックホーム 2019年9月26日、慎太郎さんはウエスタン・リーグのソフトバンク戦に8回途中から中堅で出場。2死二塁で正面に飛んできたライナー性のヒットを処理し、本塁を狙った二塁走者をノーバウンドで補殺。脳腫瘍による後遺症でボールが二重に見えたという状況の中でのこのプレーは奇跡と呼ばれた。慎太郎さんは21年、野球人生や闘病生活をつづったエッセー「奇跡のバックホーム」を刊行、実写ドラマ化もされた。

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