阪神・村上 江夏以来球団56年ぶり「初回初球被弾から完投勝利」 MVP右腕は切り替えもレジェンド級

2024年05月01日 05:15

野球

阪神・村上 江夏以来球団56年ぶり「初回初球被弾から完投勝利」 MVP右腕は切り替えもレジェンド級
<広・神>9回、最後の打者・田村を打ち取り雄叫びをあげる村上(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神7―1広島 ( 2024年4月30日    マツダ )】 レジェンド級の快投を演じた。阪神・村上頌樹投手(25)が30日の広島戦で今季初完投による2勝目を挙げた。初回、先頭打者初球本塁打を被弾しての完投勝利は、球団では68年江夏豊以来56年ぶりの快挙。マツダスタジアムで自身初勝利を飾った。投打の歯車がかみ合ったチームは今季2度目の3連勝で、最多の貯金6。2位・巨人に2・5差をつけて4月戦線を終え、昨季19勝5敗と快進撃した5月に入る。
 最後の打者・田村を遊飛に仕留めると、村上は頬を緩めた。「9回まで投げ切れたのは良かった」。今季初の完投勝利を、満足げに振り返った。

 「1点を取られたけど、そこからまた振り出しと思っていた。何も影響はなかった」

 まさかの被弾から、始まったマウンドだった。初回、先頭・秋山への初球、144キロ直球を右翼席にたたき込まれた。味方失策も絡んでなおも無死一、二塁とされた。だが、ここで崩れないのが村上だ。その初回を最少失点で切り抜け、逆に勢いづいた。2回以降も安打、四球の走者を背負ったが、要所を締めてスコアボードに8個の「0」を並べた。終わってみれば、1失点完投だ。それを可能としたのは切れ味鋭い直球と多彩な変化球だ。

 「カウントでしっかり変化球を使うことができていたと思うので、そこが良かった」

 ナチュラル変化する直球「真っスラ」を筆頭に、カットボール、フォーク、今季から多投する80キロ台の超スローカーブ…。それらをコーナーにちりばめ、鯉打線を翻弄(ほんろう)してみせた。

 実は、“変化球マスター″の横顔を持つ。例えばこの日、4番・松山を左飛、空振り三振、右飛に仕留めた際の決め球としたカットボールは「2年目(22年)にスライダーがだめになってしまった」際、代わりに習得した球種。なんと投げようと思い立ってブルペンで試投したその日にマスターしたという。「試しに投げてみるかくらいの感じだったのが、割と簡単に覚えられて。握りさえ決まれば投げられた。カットは曲がらなくても打者に効果があるし、曲がったらなお良い、くらいのイメージ」。それが今では、投球を支える武器に昇華した。

 切れ味鋭い直球、抜群の制球力に加え、超一級品の器用さを持つからこそ引き出しが多彩になる。それが快挙につながった。初回、先頭打者初球本塁打を被弾しての完投勝利は球団では68年江夏豊以来56年ぶり。2リーグ制以降では小山正明、村山実、江夏に続く4人目となった。

 3連勝で貯金6。最高の形で4月を締めくくり、「去年の5月もチームがいい感じだったので、今年もそういう状態に入りたい」と村上。もちろん、その原動力となる。(松本 航亮)

 ○…村上(神)が9回1失点完投で2勝目。唯一の失点は初回先頭打者の秋山(広)に初球を被弾したもの。初回先頭打者初球本塁打を浴びた投手の完投勝利は、1968年7月19日サンケイ戦(甲子園)で江夏豊がマークして以来、球団56年ぶり。

おすすめテーマ

2024年05月01日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム