【内田雅也の追球】再び騒いだ「打倒」の血 伝統の一戦はまだ始まったばかり

2023年04月12日 08:00

野球

【内田雅也の追球】再び騒いだ「打倒」の血 伝統の一戦はまだ始まったばかり
<巨・神>原監督(83)とメンバー表を交換する岡田監督(撮影・西川祐介) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1―7巨人 ( 2023年4月11日    東京D )】 阪神監督・岡田彰布は2004―08年の前回監督当時を振り返る時、「ほんま、おもろかったなあ」と言う。中日監督・落合博満、巨人監督・原辰徳としのぎを削った激闘を懐かしむ。「次の対戦が楽しみで仕方なかったもんなあ……」
 15年ぶりに阪神監督に復帰し、巡ってきた今季初の伝統の一戦だった。落合はいないが、かつての好敵手だった原が今も巨人監督でいる。楽しみにしていた対戦だった。

 試合前のメンバー交換時、審判団を交え、岡田と原は何ごとか笑顔で言葉を交わしていた。再会、いや再戦を喜び合っているような光景だった。

 試合は0―1が続く投手戦だったが終盤に突き放された。結局、打てなかった。開幕当初、好調だった打線は4試合連続1得点と沈んだままだ。

 巨人先発・戸郷翔征に7回3安打無得点。戸郷はもともと「フライボール・ピッチャー」。ゴロアウト(GO)をフライアウト(AO)で割ったGO/AO値は一昨年0・82、昨年0・88とフライアウトが多い。

 それにしても、この夜は戸郷の速球に押されての凡飛が目立ち、フライアウトは12個に上った。ゴロアウトは4個に過ぎず、三振は5個だった。

 シェルドン・ノイジー、大山悠輔、佐藤輝明のクリーンアップトリオは12打数無安打。走者を置いて回った4、6、8回表も沈黙を続けた。

 1回裏に先制を許した先発・西勇輝は粘った。だが7回裏2死満塁からオコエ瑠偉にこの夜3本目の安打となる右前2点打を浴びた。岡田は「もう1人、がんばってくれたら(後の展開は)わからなかった」と話した。

 前回登板の4日広島戦(マツダ)では西勇降板後に同点とされ、勝利投手が消えていた。岡田はベンチ内で顔を合わせた際、「西、悪かったな」と声をかけていた。

 岡田にも西勇にも今回こそ勝ち星……との思いがあったろう。岡田が描いていたのは7回裏を西勇が無失点でしのぎ、8回表逆転というシナリオだったろう。7回裏の戸郷の打席で代打が出て投手が代わる。ピンチの後にチャンスありと流れは来ていると読んでいた。

 阪神の有力後援者だった父・勇郎に連れられ、幼少期から甲子園球場に通い、ONコンビにやじを飛ばした。体に流れる「打倒巨人」の血が騒いでいる。今季の伝統の一戦はまだ始まったばかりである。=敬称略=(編集委員)

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