故ゲーリッグ氏の名スピーチから84年 ヤンキースが“ゲーリッグ病”を抱える7人の女性を支援 

2023年07月05日 10:00

野球

故ゲーリッグ氏の名スピーチから84年 ヤンキースが“ゲーリッグ病”を抱える7人の女性を支援 
ラングスさんに声をかけるヤンキースのブーン監督(AP) Photo By AP
 故ルー・ゲーリッグ氏の歴史的な引退スピーチから84年目となった4日、ヤンキースは地元ニューヨークのヤンキー・スタジアムでのオリオールズ戦の前に記念式典を開催。メジャーや各球団の公式サイトを運営するMLBアドバンスド・メディアで記者兼プロデュサーを務めているサラ・ラングスさん(30)らをグラウンド内に招待した。
 マンハッタンで育ち、シカゴ大出身のラングスさんはニューヨーク・デイリーニュース紙でインターンを務めたあとスポーツ専門局のESPNに入社してコンテンツの編集を担当。2019年にMLBアドバンスド・メディアに移って仕事を続けていた。

 しかし昨年10月、ゲーリッグ氏を引退に追い込んだ筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたことを公表。この日は同じ病気を抱える6人の他の女性とともに式典に出席し、ラングスさんの父チャールズさんと母リースアンさんが始球式を行った。

 ヤンキースのアーロン・ブーン監督(50)に激励され、ゲリット・コール投手(32)からヤ軍全選手のサイン入りのTシャツをプレゼントされたラングスさんは感無量の面持ち。メディアの前では「病気を公表したときから、自分がうまく対処してきたとは思えません。でも私は毎日のように試合をやって立ち止まらない野球が好きです。それはこの先も私の人生の中では変わらないもののひとつですし、私も立ち止まることはしません」と語っていた。さらに「ALSの患者はルー・ゲーリッグのように見える人たちだけではありません。同じ病気を抱えている若い女性たちにもスポットライトを当ててもらうことが重要でした」と式典に参加した理由も付け加えていた。

 ベーブ・ルースと並ぶヤンキースの強打者とした活躍したゲーリッグ氏は1925年から39年まで当時のリーグ記録となる2130試合連続出場を達成。しかし38年シーズン途中から体に異変を感じ、39年5月2日のタイガース戦で自ら欠場を申し出て記録は途絶えた。翌39年には症状が悪化。6月に難病のALSと診断されて現役引退を表明した。セネターズ戦が行われた同年7月4日は「ルー・ゲーリッグ感謝デー」と命名され、ゲーリッグは「私はこの世で最も幸せな男です」と涙を流しながらスピーチ。そして41年6月2日、37歳でこの世を去った。

 ゲーリッグ氏の名スピーチが球場内に流されたこの試合では、ア・リーグ東地区3位のヤンキースが8―4で勝って48勝38敗。ここ4戦で3勝目を挙げ、同2位オリオールズ(49勝35敗)とのゲーム差を「2」に縮めている。

 なお日本のプロ野球界ではヤクルトや日本ハムで監督を務めた土橋正幸氏が“ゲーリッグ病”とも呼ばれているALSと診断されて2013年に77歳で死去。NFLではスーパーボウルで2度の優勝経験がある49ersの名WR、ドワイト・クラーク氏が2018年にこの病気のために61歳で他界しており、現在に至っても治療方法はまだ確立されていない。

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