栗山英樹氏 小さな警鐘に耳傾けて 北海道でクワガタが減りカブトムシが増加「でも、これっておかしい」

2023年07月22日 05:45

野球

栗山英樹氏 小さな警鐘に耳傾けて 北海道でクワガタが減りカブトムシが増加「でも、これっておかしい」
栗山英樹氏の直筆色紙 Photo By スポニチ
 今年3月のWBCで世界一に輝いた侍ジャパン前監督の栗山英樹氏(62)が、スポニチ本紙にスタートさせた連載「自然からのたより」の第2弾は、長い冬を越えて動き出したクワガタについて。自宅のある北海道栗山町の豊かな自然の中で、小さな異変を感じた。クワガタの姿が減った一方、よく見かけるのがカブトムシ。自然界から聞こえてくる小さな警鐘に今こそ耳を傾けないといけない。
 海道栗山町の自宅で、雄のミヤマクワガタが元気に動き出した。生まれたのは、というより飼っていた幼虫がさなぎから成虫になったのを見つけたのが昨年10月16日。あれから室内でこの冬を越した。長い冬の間はじっと動かず、何も食べずに。「WBCが終わって帰ってくるまで元気でいてくれよ」。そう願って3月末に帰ってきた時は、まだ動かない。だけど、室内でも季節を感じるのだろう。4月中旬くらいから動き出した。今では元気にゼリーをもりもり食べている。

 先日、雌のミヤマクワガタを見つけ、つがいで飼育している。次の世代へ命をつないでくれるだろうか。そんなクワガタの姿が、いつ頃からだろうか、少し減ってきているように感じる。その代わりによく見かけるのがカブトムシだ。でも、これっておかしい。カブトムシは本来、北海道には棲息していない昆虫のはずだ。北海道の昆虫を載せた図鑑にも昔はカブトムシは載っていなかったと聞く。国内外来種として棲み着いたものが増え、地球温暖化の影響でより増えているということか。クワガタの減少はその余波なのだろうか。

 朝に霜を、薄く張った氷を踏むと、やがて堅い氷が張る真冬がやってくる、という意味から、小さな予兆の後には大きな出来事が起きる、小さくても予兆があったら早く備えて対処した方がいい、と教えている。これは「時の書」とも言われる「易経」の言葉だ。クワガタの数が減ったように感じるのは、予兆なのではないか。世界では地球温暖化による異常気象のニュースが後を絶たない。いつか起きるであろう大きな異変を教えてくれているのなら、何か備えを、対処をすべきだ。それは一人一人でいい。ゴミを森に捨てていかないとか、一人一人が動けば大きな備えに、対処になっていく。

 ミヤマクワガタの幼虫は昨年5月ごろ、犬小屋の整理をしている時、盛ってあった土の中から出てきた。それが今、冬を越え、1年以上たって元気に生きてる。そんなクワガタたちが普通にいっぱいいる自然を守っていかないといけない。

 ▽カブトムシ 北海道には元々、棲息していなかった昆虫で、本来の棲息地は本州、四国、九州。1970年以降にペットとして持ち込まれたものが逃げたり、植栽樹木の根周りに混入するなどして道内に棲み着き、種を増やしたとされている。海外からではなく、国内で本来棲息していない地域に外部から来て棲み着いた生物を国内外来種と呼ぶ。生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、トノサマガエルなども北海道では国内外来種に当たる。なおミヤマクワガタは標高が高く、冷涼な場所に多く分布。棲息地は北海道、本州、四国、九州とほぼ全国にわたっている。

 ≪スカイツリーで昆虫と触れ合って≫「大昆虫展in東京スカイツリータウン」(主催・スポーツニッポン新聞社ほか)が、東京スカイツリータウン・ソラマチ5階スペース634で開催されている。会場内の「ふれあいの森」ではカブトムシ200匹以上が放され、連日子供たちが触れ合いを楽しんでいる。同所で9月3日まで。午前10時から午後6時まで(金・土曜日は午後8時まで)。入場料は高校生以上1100円、子供(3歳以上)800円。

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