古豪桐蔭、サヨナラ8強 事前対策実った投打 昨夏準優勝の雪辱へ

2023年07月22日 17:36

野球

古豪桐蔭、サヨナラ8強 事前対策実った投打 昨夏準優勝の雪辱へ
<高野山・桐蔭>サヨナラ勝ちに沸く桐蔭の選手たちと応援席 Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権和歌山大会3回戦   桐蔭6―5高野山 ( 2023年7月22日    紀三井寺 )】 5―5同点の9回裏、2死満塁で打席に立った桐蔭・神崎優迅(ゆうじん=2年)は「意外と冷静でいられた」と言う。昨年夏は1年生ながら三塁手で出場し、準優勝を経験していた。1年が過ぎ、背番号は「15」から正遊撃手の「6」となっていた。「精神面であの経験が生きています。あまり緊張しなくなりました」
 外角直球を続けて見逃し、2ストライクと追い込まれてもまだ冷静だった。1つボールを見送り、「次も真っすぐで勝負にくる」。読み通りの外角直球に合わせ、右前にライナーで運んだ。「あっ、ライトゴロだ」と懸命に一塁に駆け、遅れてサヨナラの歓喜の輪に加わった。「小中学校時代もありません。人生で初めてのサヨナラヒットでした」。

 試合は苦しい展開だった。1回裏、4番・淡路文太(2年)の中前適時打で先制したが、5回表に失策、四球がらみで4点を奪われた。その裏、2死満塁から再び淡路の飛球が左前にテキサス性二塁打となって落ち、走者一掃で同点。ところが6回表にまた1点を勝ち越された。

 6回表から2番手で二塁手から救援登板した背番号「4」の中田晴斗(3年)は「立ち上がりはやられましたが、その後は持ち味を出せたと思います」と、7回以降3イニングを零封、サヨナラにつなげた。

 昨夏は背番号「16」で控え内野手。秋からの新チームでは「1」を背負ったが、今年3月に右肘痛で投げられなくなった。二塁手として練習試合には出ながら回復を待ち、6月から再び投手兼任となった。湊小、河北中時代からバッテリーを組む宇治田大樹(3年)とのコンビが復活した。

 直球は120キロ台中盤。大学まで野球経験のある父・育兵さんから「125キロをいかに140キロに見せるか考えなさい」と助言を受け、工夫してきた。投球の間合い、セットから長く持ったりクイックで投げたり、時にはけん制球で打ち気をそいだ。

 「ビデオを見て、高野山の打線が不得意としているチェンジアップを中心に組み立てた。よく空振りも三振も取れた」

 こうした相手の研究を伝統的に得意にする。初戦であの智弁和歌山打線を4安打2失点完投と封じた相手投手の酒井爽(2年)について、矢野健太郎監督(33)が「6割が変化球」などのレジュメを作成し配布。全員でビデオを見て対策を練っていた。

 2安打4打点の淡路は「智弁和歌山は直球待ちでやられていた気がした。変化球を右中間に打ち返す姿勢で臨んだ」と対策は有効だった。練習試合を含めチーム最多打点と勝負強い4番だ。

 春夏通算36度の全国大会出場、3度の全国優勝を誇る古豪。昨夏の準優勝で応援部への入部希望者が殺到した。この日も満員の応援席が沸き返っていた。

 昨夏に続く8強進出で甲子園まであと3勝。昨夏決勝で敗れた智弁和歌山は敗れ、再戦はならなかったが、雪辱への思いは強い。 (内田 雅也)

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