福島敦彦氏の夏の甲子園総評 ベンチ入り選手20人に拡大で複数投手制が加速

2023年08月25日 05:30

野球

福島敦彦氏の夏の甲子園総評 ベンチ入り選手20人に拡大で複数投手制が加速
福島敦彦氏
 慶応の107年ぶり優勝で幕を閉じた第105回全国高校野球選手権大会。大会期間中「迫球甲子園」で試合に迫った福島敦彦氏が、大会を総評した。
 【福島敦彦氏 総評】慶応が目指す「エンジョイベースボール」が結実し、見事に高校野球の頂点に立った。森林貴彦監督を、選手は「森林さん」と呼びフラットな関係性であろうとした。厳しい上下関係もなくグラウンド整備は全員でする。髪形も自由。自主性を重んじる指導法など常識を覆して古豪を復活に導いた。森林監督の恩師でもある上田誠前監督もさぞ、うれしいことだろう。

 敗れた仙台育英の須江航監督と選手諸君が閉会式で慶応に拍手を送り「人生は敗者復活戦で、この経験を次に生かす」という前向きな姿勢は印象的で立派な準優勝だった。昨夏は春夏通じて東北勢初優勝。史上7校目の夏連覇は逃したが、2年連続で決勝の舞台を踏んだことは素晴らしいの一言。今大会は東北勢が初めて3校も準々決勝に残ったが、これからもけん引する存在であってほしい。

 今大会からベンチ入り選手数が20人に拡大。複数投手制が加速し4強のうち慶応を除く3校が全試合で継投策。慶応も準決勝で小宅君が完封した以外は継投で、完投は昨年の21から14に減少した。また、猛暑における選手の健康と負担を考慮し5回終了時に水分補給や体を冷やす10分間の「クーリングタイム」を導入したことは良かった。今後はさらに暑さが増すだけに、より良い方法を模索してほしい。

 コロナ下で多くの制限があった過去2年の大会をへて、今夏はほぼ通常の形で開催できた。聖地が本来の熱気を取り戻しつつある中で、出場辞退校もなくプレーできたことは何より。来年は甲子園球場の開場100周年。球児の笑顔を今から楽しみに待ちたい。
 (報徳学園、慶大、中山製鋼元監督)

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