誇らしいけど嫉妬?「甲子園に縁がない」のは16年後も変わらない、ある慶応OBの話

2023年08月25日 15:51

野球

誇らしいけど嫉妬?「甲子園に縁がない」のは16年後も変わらない、ある慶応OBの話
2010年、東京六大学野球・秋季リーグ戦でプレーする伊場竜太さん(右) Photo By スポニチ
 今夏の甲子園は慶応(神奈川)の107年ぶり優勝という歴史的偉業とともに幕を閉じた。一夜明けた24日、後輩の快挙を喜ぶ一人の男性と会ってきた。伊場竜太さん、34歳。慶応のOBで、07年度の卒業生。主将、4番、正捕手の大黒柱だった。進学先の慶大では東京六大学を舞台に活躍。2011年秋にドラフト1位で阪神に入団した伊藤隼太外野手(現・愛媛マンダリンパイレーツコーチ)と同期生にあたる。
 当時、慶大卒業後も硬式野球を続けたのは、伊藤氏と伊場さんの2人だけ。伊場さんは社会人野球の名門・日本製紙石巻に入社し、2年目の13年には都市対抗野球で8強に進出した。16年限りで現役生活に別れを告げ、今は都内の日本製紙で社業に専念。液体紙容器(紙パック)の営業担当として、東奔西走している。
 「優勝した慶応の後輩たちとは面識はないですが、母校が優勝するなんてこれ以上うれしいことはないです。何しろ僕は甲子園に縁がない男だったので」

 誇らしげに、だが少しだけ嫉妬をにじませながら語った。伊場さんの最後の夏は準決勝で桐光学園に敗退。夢舞台まで「あと2勝」で涙をのんだ。「相手の先発が、今ロッテにいる東條大樹君。1年生でしたけど、すごい球投げてましたね」。伊場さんの2学年上の代は05年春のセンバツで8強入り。1学年下のメンバーは08年春夏、09年春に聖地へ。08年夏はべスト8へ進出している。

 「1つ上の先輩は、2つ上の先輩がセンバツに出たときに試合に出ていた人もいたので…。僕が在籍した3年間で誰も甲子園の土を踏んでないのは自分たちの代だけなんです」

 それでも、過ごした時間の重みは変わらない。「高校3年間は本当に意義がありました。人生の基礎みたいなものができたし、当時の仲間との付き合いは続いています。今、社会人として働く中でも、すごく支えになってくれていますね」。

 当然、23日の母校の決勝はその仲間たちと現地で観戦…と思いきや「仕事があって行けませんでした」。ならばテレビや配信動画でリモート応援?「いえ、試合開始の午後2時から5時まで、クライアントと打ち合わせがあって、まったく観られていません。だから僕はどこまでも甲子園に縁がないんですよ」――。
(八木 勇磨)

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