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【菊地選手の「隠し玉」発掘】BC群馬の奥村光一外野手 走塁に磨き 不格好でも何度も立ち上がる

2023年10月14日 05:35

野球

【菊地選手の「隠し玉」発掘】BC群馬の奥村光一外野手 走塁に磨き 不格好でも何度も立ち上がる
練習でダッシュを繰り返すBC群馬の奥村光一外野手 Photo By スポニチ
 群馬県高崎市の特産品に「高崎だるま」がある。倒れても起き上がるだるまは、縁起物として重宝されてきた。そして今、群馬の独立リーグ球団で、何度も立ち上がってきた不屈の男がNPBを目指している。
 奥村光一。名門・東海大では一度もベンチ入りすらかなわず、3年時に「就職した方がいい」と事実上の引退勧告を受けた。ルートインBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスに入団すると、1年目から首位打者を獲得するなど活躍。だが、NPBからドラフト指名を受けることなく、3年が経過している。

 奥村の魅力は馬力あふれるプレーにある。インパクトでガツッと強さを伝えられる打撃、砲丸を軽々と投げつけるような強肩、加速力のあるダンプカーが突っ込むような走塁。その攻撃的なプレースタイルは愛斗(西武)と重なる。

 これほどの能力を秘めながら、なぜ奥村はドラフト指名されないのか。奥村本人に聞いても「自分の実力不足です」と恨み言は一切口にしなかった。おそらくNPBスカウトから評価されてこなかった理由の一つは「動作の不格好さ」だろう。奥村は送球も走り姿もアクションが硬く、絵にならない。身のこなしの柔らかさを求めるスカウトが多いなか、奥村のプレーは不格好に映ってしまう。手足がなく、一見見栄えのしないだるまと重なる。

 だが、奥村は外見ではなく中身を磨き続けてきた。「NPBから何を求められているかを考えた」と、走塁技術に磨きをかけた。盗塁タイムは3秒1台まで縮め、今季は63試合で33盗塁(盗塁死6)をマークした。

 今年こそNPBからドラフト指名を受け、だるまの目に筆を入れるつもりだ。 =終わり=

 ◇奥村 光一(おくむら・こういち)1999年(平11)12月24日生まれ、静岡県出身の23歳。東海大静岡翔洋では強打者として注目されたが、東海大では出場機会に恵まれず3年で退部し、BC・群馬入り。今季は俊足を磨き、63試合で33盗塁を記録。1メートル78、85キロ。右投げ右打ち。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター(現X)上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。19年3月出版の著書「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」は、15日から始まるTBS系の日曜劇場のドラマ「下剋上球児」の原案に。Xアカウント:@kikuchiplayer

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