阿南光・吉岡 新基フォーム1勝「軸をつくろうと」2段モーション11K完投

2024年03月20日 06:00

野球

阿南光・吉岡 新基フォーム1勝「軸をつくろうと」2段モーション11K完投
<豊川・阿南光>9回、豊川・モイセエフを三振に仕留め、ガッツポーズをする阿南光・吉岡(撮影・平嶋 理子) Photo By スポニチ
 【第96回選抜高校野球大会第2日第1試合   阿南光11―4豊川 ( 2024年3月19日    甲子園 )】 1回戦3試合が行われ、阿南光(徳島)は豊川(愛知)に11―4で快勝。最速146キロのプロ注目右腕・吉岡暖(はる)投手(3年)が、今大会から解禁された2段モーションで被安打9、4失点で完投勝利を挙げた。豊川は、モイセエフ・ニキータ外野手(3年)が新基準の低反発金属バット1号となる2ラン本塁打を放った。高崎健康福祉大高崎(群馬)は学法石川(福島)、明豊(大分)は敦賀気比(福井)を下し、2回戦に進んだ。
 新時代到来を告げるのは、金属バットだけではない。左足を2度上げる投球フォームで投じた阿南光の吉岡が11奪三振、4失点完投勝利。「足を1度上げるだけだと、ぐらつくことがあった。軸足に体重を乗せて軸をつくろうと思いました」。高校野球では今大会から、いわゆる2段モーションが解禁。18日の開幕日に登板した11投手は採用せず、規則上では甲子園で初めて「2段」を使った投手が快投を演じた。

 「新基準フォーム」解禁は2月9日に発表された。選抜開幕が1カ月半後に迫る状況ながら吉岡は即決。「前から2段の方が合っていると思っていた。期間が短いからやめるとかは考えなかった」。理想の体重移動を再現できるようになり、課題の制球が改善。緊張の初戦、しかも強打の豊川打線を相手に4四球にとどめ、143球を投げ抜いた。

 注目打者のモイセエフに急造フォームで挑んだ。2打席連続三振を含む3打席無安打に抑えて迎えた8回、1死一塁から右翼ポール際に豪快な一発を浴びた。そして4―11の9回2死満塁で5度目の対戦。「運命かなと思った。最後にニキータ選手が来てくれた。三振を取るしかないと思った」。被弾したフォークで空振り三振に仕留めて試合を締めた。

 部員25人全員が徳島出身、登録選手20人中13人が阿南市出身の地元軍団で聖地にたどり着いた。当時、同校進学を知った知人から「甲子園に行けない高校に行ってどないするん?」と言われた。「見返すぞ、と思った」。主将の井坂琉星とは中学時代からのバッテリー。全てのサインにうなずく阿吽(あうん)の呼吸で昨秋の東海王者を倒した。

 18年に阿南工と新野(あらたの)が統合して現校名になった。新野時代の92年以来、32年ぶりの選抜1勝。「地元に少しでも恩返しができるように一戦必勝で頑張っていきます」。地元の仲間とつかんだ聖地での白星は格別だった。 (河合 洋介)

 ◇吉岡 暖(よしおか・はる)2006年(平18)8月28日生まれ、徳島県阿南市出身の17歳。小学1年から野球を始めて捕手。中学時代は阿南シティーホープに所属して3年時にエースとして全国大会優勝。阿南光では1年夏から背番号18でベンチ入りし、1年秋から背番号1。50メートル走6秒2、遠投100メートル。1メートル82、85キロ。右投げ右打ち。

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