首都大学リーグの学生委員長は山梨学院で3度甲子園に 上野颯夏が名将から得た「金言」

2024年04月06日 21:19

野球

首都大学リーグの学生委員長は山梨学院で3度甲子園に 上野颯夏が名将から得た「金言」
首都リーグの1部リーグ学生委員長を務める上野(撮影・柳内 遼平) Photo By スポニチ
 首都大学野球リーグが6日に開幕し、神奈川県平塚市で3試合が行われた。選手、指導者、ファンにとって待ちに待った球春到来。運営としてリーグを支えるマネジャーたちの心も一緒だ。
 昨秋から1部リーグの学生委員長を務める日体大・上野颯夏マネジャー(4年)は取材対応、会計など初日の職務を終えた。「凄くバタバタな1日だったんですけど、無事に終えることができた。開会式に続いて3試合が終わり、安心した部分もあるんですけど所々見落としやミスがあったので反省してこれからの運営に役立てていきたい。気が引き締まる1日になりました」と充実の時に笑みがこぼれた。

 学生委員長としてマネジャーたちを率いる上野。実は野球人から一目置かれる経歴を持っている。山梨学院では控え捕手として3度も甲子園に出場。1年秋から担った三塁ベースコーチは引退するまで誰にも譲らなかった不動のポジションだ。同校は守備でも攻撃でも細かいプレーを徹底的に磨き抜く伝統がある。走者の「ゴー・ストップ」を判断する三塁ベースコーチは攻撃の「司令塔」ともいえる存在だ。

 清峰(長崎)、山梨学院で甲子園優勝経験を持つ吉田洸二監督からも絶大な信頼を得たベースコーチの技量。上野は研究する力、考える力で磨き抜いた。通常、試合前に行われるシートノックは相手選手の守備力を判断する材料になるが「どうしても試合前のノックは“魅せるノック”になっている。よく見ると外野は通常より前に守ってノーバンでバックホームを投げたりする」と冷静な目で分析。パフォーマンスの守備力は判断材料にせず「試合の中での動きを見ると中継でもたついたり、カットマンに投げるボールが弱かったりする。本当の選手の情報を知るということを意識していました」と見極めてきた。アウトを賭して1点を狙うか、究極の判断を求められることが何度もあったが、常に最適解を導き出した。

 捕手だけではなく、三塁ベースコーチとしての視点も得たことで「考えてプレーすることに気づけた」と高校時代を振り返る。昨年の選抜大会で山梨県勢初の甲子園優勝に導いた吉田監督の下では人として大切なことも学んだ。甲子園通算23勝の名将は「俺は野球を知らないけど運でここまで来たんだ。常にポジティブなイメージを持った方がいい」と謙虚に語っていた。その姿から上野は常に「謙虚でいること」、「笑顔で明るくいること」を意識するように。日体大野球部にはマネジャーで入部し、昨秋から1部リーグ学生委員長の大役を担う。恩師の金言をグラウンドだけでなく、日々の業務にも生きた。

 将来の夢は教師。今夏前には母校の山梨学院へ教育実習に行く。「僕は裏方としてのアドバイスもできると思う。野球を外から見てきた視点を後輩たちに助言できたらといいかなって。将来は野球を教えたい夢もあります」と心待ちにする。連盟としてのリーグ戦成功、日体大としての勝利、そして将来の夢である教師。上野は大学最終年に二兎(にと)も三兎(さんと)も追いかける。(柳内 遼平)

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