パリ五輪ボクサー性別騒動 識者が見解「ルール違反をしたわけではない」 人権侵害を懸念

2024年08月02日 18:42

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パリ五輪ボクサー性別騒動 識者が見解「ルール違反をしたわけではない」 人権侵害を懸念
女子ボクシング66キロ級で棄権し、ひざまずいて涙を見せるイタリアのカリニ(左)。右は勝者のアルジェリアのケリフ(AP) Photo By AP
 パリ五輪の女子ボクシングで起きている選手の性別に関する騒動について、スポーツと性に詳しい識者が2日放送の日本テレビ系「news every.」(月~金曜後3・50)の取材に答え、見解を示した。
 1日に行われた女子66キロ級2回戦で、イマネ・ケリフ(アルジェリア)と対戦したアンジェラ・カリニ(イタリア)が、開始46秒で棄権した。試合はケリフが勝利したが、同選手は昨年の世界選手権で行われた性別適格性検査で男性のXY染色体を持つとして優勝をはく奪され、失格となった過去があり、パリ五輪への出場が賛否を呼んでいた。ケリフの出場について、カリニは試合後、「それが正しいか正しくないかは、私が決めることではありません」などと話している。

 騒動を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は「すべての人は差別なくスポーツをする権利を持っています」と主張。性別については「これまでのオリンピックボクシング競技と同様に、アスリートの性別と年齢はパスポートに基づいています」と説明した。

 この騒動について、番組の取材に答えた中京大スポーツ科学部の來田享子教授は「IOCがボクシング競技の運営を担っている。その中で定めたルールにのっとって、出場資格があると認められている。これが厳然とした事実」と事実関係を整理。「今、ケリフ選手がルール違反をして出たわけではないことははっきりしている」と付け加えた。

 また、ケリフとともに、世界選手権での性別適格性検査に不合格となり、出場できなかったリン・ユーチン(台湾)も、今大会に57キロ級で出場。來田氏はこの検査が「ケリフ選手を含む2人にしか行われなかった」とし、「恣意的だった可能性があり、公平性を確認する必要がある」と見解を示した。

 この問題を受け、選手らへの誹謗中傷も広がっている。來田氏は「性別について推察で決めつけ議論することは、人権侵害につながりかねない」と警鐘を鳴らした。

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