ヤクルト3年目左腕・山野 涙のプロ初勝利「やっと恩返しができた」 巨人・菅野に投げ勝った7回零封

2023年08月02日 05:30

野球

ヤクルト3年目左腕・山野 涙のプロ初勝利「やっと恩返しができた」 巨人・菅野に投げ勝った7回零封
<巨・ヤ>ヒーローインタビューで感極まる山野(撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   ヤクルト1-0巨人 ( 2023年8月1日    東京D )】 涙の1勝だ。ヤクルトの山野太一投手(24)が1日、巨人戦に先発して7回4安打無失点。序盤から直球、変化球ともに抜群でリズムよくアウトを重ね、念願のプロ初勝利を挙げた。20年ドラフト2位で即戦力の期待を背負いながら1年目は故障にも苦しんで登板は1試合のみ。7月に育成から支配下に復帰したばかりの3年目左腕が、2年ぶりプロ2度目の登板で5位から巻き返しを狙うチームを3連勝に導いた。
 何度も瞳に浮かぶ涙を拭った。脳裏にはつらく、苦しかった日々がよみがえる。ついに手にしたプロ初勝利。山野は「多くの方に支えてもらって、やっと恩返しができた…」と声を詰まらせながら感謝した。

 2年ぶりの1軍登板。「食べられず、喉もカラカラでマウンドに上がった」というが気迫を出して最速146キロの直球を軸にカットボールやフォークなど多彩な変化球でテンポよくアウトを重ねた。最大のピンチだった6回2死一、二塁も動じない。4番の岡本和を低めカットボールで右邪飛に斬った。プロ2度目の登板で7回4安打無失点で菅野に投げ勝ち、3回はその菅野の地面すれすれのカーブを拾って中前打。イチローばりの打撃でプロ初安打も記録した。

 即戦力左腕として1年目に開幕ローテーション入りもデビュー戦の21年4月1日のDeNA戦で1回1/3を7失点。以降は上半身のコンディション不良で実戦からも遠ざかった。投げられず「野球をやりたくないという日々」と振り返る。「人としゃべるのも嫌だった」と寮の自室に閉じこもり「夜中にシャドーピッチングをし始めて、そのまま朝を迎えたこともあった」と一睡もせずに練習に向かったこともあった。

 支えは家族や同僚の励まし。3学年下の奥川からは「山野さんは凄いから」と何度も背中を押された。昨秋には「投げられるならどんな投げ方でも」と肩や肘を痛めない投げ方を模索し横手も試した。育成契約となった昨オフは山口に帰郷したのは1日だけ。自主トレに明け暮れ、故障しにくいフォームを確立した。努力は実り7月に支配下に復帰した。

 先発予定のピーターズがアクシデントで登板回避して巡ってきた機会で、チームを3連勝に導く快投。高津監督も「期待以上の投球だった」と称えた。「これからもチームの勝利に貢献できるように」と山野。ニューヒーローが誕生の予感だ。(青森 正宣)

 ≪父「ヒヤヒヤ」≫山野の父・正明さん(60)は山口県の自宅でテレビ観戦。息子の初勝利を見届け「ヒヤヒヤでした。まさかこれだけの投球をするとは」と喜んだ。リハビリ期間中も電話などで「太一ならできる。絶対、大丈夫だから」と励まし続けた。今回の2年ぶりの先発が決まると「打たれるのはしょうがない。逃げずに真っ向勝負しなさい」と激励。父の言葉を実践した山野は「ウイニングボールは実家の両親に渡します」と笑みを浮かべた。

 【山野太一(やまの・たいち)】☆生まれ&サイズ 1999年(平11)3月24日生まれ、山口県出身の24歳。1メートル72、77キロ。左投げ左打ち。

 ☆球歴 小1から小郡少年野球団で野球を始める。高川学園では2年夏から主戦で3年夏に甲子園出場。東北福祉大では仙台六大学リーグで22勝無敗、防御率1・40をマークし、3年春にMVPを獲得。20年ドラフト2位でヤクルト入団。

 ☆ビートルズ好き 父・正明さんの影響で聴くように。寮にも父からもらったレコードを持ち込む。

 ☆趣味 カラオケ。「何でも歌います」と「プリンセス プリンセス」の「M」などが持ち歌。

 ☆愛されキャラ 先輩からも後輩からもいじられる。3学年下の奥川とも仲良しで「1回ボディーソープを凍らされて。あと、ゴミを冷凍庫に入れられたり、いろいろされています…」。

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