阪神・岡田監督 大山に“極秘個人特訓”して復調アシスト プライド傷つけない「扉にカギをかけて」配慮も

2023年09月15日 05:15

野球

阪神・岡田監督 大山に“極秘個人特訓”して復調アシスト プライド傷つけない「扉にカギをかけて」配慮も
<神・巨>胴上げされる岡田監督(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神4―3巨人 ( 2023年9月14日    甲子園 )】 阪神が14日、18年ぶり10度目、2リーグ制以降では6度目の優勝を決めた。マジック1で迎えた巨人戦で41年ぶりの11連勝に伸ばし、岡田彰布監督(65)が今季最多4万2648人の観衆を集めた本拠地・甲子園球場で胴上げされた。9月は11戦全勝。2桁連勝での優勝決定はセ・リーグでは初めてで、球団史上最速の日付で頂点に立った。
 岡田監督はリーグ優勝回数と同じ6度、宙を舞った。本拠地に響き渡った“オカダ・コール”の大合唱には虎党の17年分の思いが詰まっていた。先制犠飛の大山と最初に抱き合い、2ランの佐藤輝をねぎらった。41年ぶり11連勝で頂点まで駆け上がり、今まで言わなかった「漢字2文字」で勝利宣言した。

 「まさか、ここまでみんなに浸透すると思わなかった。今日でアレは封印して、みんなで優勝を分かち合いたい」

 球宴後に首位を譲ったのは1試合だけ。「しんどい時期はなかった」。球団では62年以来61年ぶり2度目のセ全球団に勝ち越し、圧勝で頂点に立った。

 昨年10月の就任当初は「俺が監督なら勝てるみたいな雰囲気があったけど、17年も優勝してないのに簡単に勝てるかよって」と懐疑的だった。戦いが始まれば65歳の年齢も実感した。以前は日常だったナイター後の外食とは無縁。長距離移動は体にこたえた。梅雨が明け、タンスから夏ズボンを引っ張り出すとウエストがブカブカだった。「3キロ減ったわ。食欲はあるけどな」。オリックス監督を12年途中で退き、現場から遠ざかった。「あと5年早く監督をさせてくれたら」の嘆きは本音でも、野球観に一切の衰えはなかった。

 中野の二塁転向、守備位置固定、小刻みな投手継投に畳みかけるような用兵。アマ三段の資格を持つ趣味の将棋のように、選手を駒として自在に動かし、作戦はズバリ的中した。結果が出なければ、実績ある青柳でも西勇でも2軍に落とした。

 先行する厳格で現実主義者のイメージ。しかし、その顔が全てではない。敵地での8月16日の広島戦。調子を落としていた大山をブルペンに呼び、誰にも見られないように初めて2人きりで教えた。

 「真ん中を振れ」

 スイングさせると、無意識にボール1~2個分、内角を振った。強引な引っ張りの悪癖が出ていた。極秘特訓後は徹底した右打ちで復調し、貯金11を蓄えた8月戦線に大貢献した。「黙々とするタイプ」の大山のプライドを傷つけない「扉にカギをかけて」の配慮でよみがえらせた。

 優勝を決めた一戦で外国人を除く先発野手7人は平均年齢27・3歳。「完成されていた」という前回05年の優勝決定時の30・8歳と比べてずいぶん若い。「勝負は8月以降」と言い続けた真意は、各選手の伸びしろを見込んだだけでなく、息子より年下の選手たちを理解する時間を求めたからだった。

 「技術は見たら分かるけど、取り組み姿勢だけはシーズンに入らな分からんよ。勝つのに大事なのはそこやで。俺が選手の性格を知っていけば強くなるのは分かっていたよ」

 だから、交代させられても大声を張り上げる木浪を買った。背中で引っ張る大山に全試合4番を任せた。12球団最多四球を選んだ「つなぐ意識」は最大の強みになった。逆にプロ意識に欠けると判断した佐藤輝には6月に2軍行きを命じ、今も変化を願う。

 「(整備後の)6回の守りに就くのはいつも最後やろ?ファンも見てるんやから」

 4年連続Aクラスの若虎に心技体で勝ち方を教えて栄冠に導いた。独走し、なお余りある手応えがある。「個々の選手は若いし、伸びる要素は十分。また来年から楽しみ」。2リーグ制以降では球団史上初の連覇へ。次の「アレ」を、もう18年も待つ必要はない。(倉世古 洋平)

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