【スポニチスカウト部(37)】仙台育英・仁田陽翔 “追試”で輝き放ち、150キロ連発

2023年10月24日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(37)】仙台育英・仁田陽翔 “追試”で輝き放ち、150キロ連発
仙台育英・仁田陽翔 Photo By スポニチ
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第37回は仙台育英(宮城)の最速151キロ左腕・仁田陽翔投手(18)。甲子園大会では力を発揮できずも9日開幕の鹿児島国体では2試合に登板した。最後のアピールはプロ球団に届くか。 【ドラフト速報
 夏で最後の公式戦を終える高校生。ドラフト会議のある10月は「アピール」の締め切りを過ぎている。仁田は今春、今夏の甲子園で制球難から力を発揮できなかった。プロ球団のスカウトは次々と指名候補のリストから外した。強豪ゆえに登板機会に恵まれなかった左腕に、強豪ゆえのチャンスに恵まれた。夏の甲子園準優勝で、10月9日開幕の鹿児島国体に出場。仁田にとって起死回生をかけた「追試」の舞台だった。

 雨天による開幕順延で2校優勝で大会が終わることが決定。つまり仙台育英は勝ち抜いたとしても準決勝までの2試合で終了となる。強力投手陣の中で唯一、プロ志望届を提出した仁田。須江航監督は背中を押すように2試合とも仁田の起用を決めた。あとは大学生の最終チェック期間である10月にスカウトがわざわざ鹿児島まで来るか、が問題だった。

 10月9日、慶応戦。オリックスなど5球団のスカウトが視察に訪れた。7回。「ピッチャー仁田君」でマウンドに駆けた。この最終試験で再び制球難を露呈すれば、支配下指名以外は大学進学する仁田のプロ入りは絶望的となる。結果は1回を3者凡退で1三振。自己最速まで1キロに迫る150キロをマーク。フォーム探しの旅に出ていた左腕は「しっかりトップをつくれるようになった」と本来の姿を取り戻した。150キロの直球、高速で変化する「カツオスライダー」が猛威を振るった。須江監督がチャンスを与え続けてきた怪物候補の片りんだった。

 11日の北海との準決勝では4回途中から救援し、2回2/3を4安打3失点。3四球を与えたが、打者に粘られた末の結果で直球は150キロを4度もマーク。高校最後の登板を終え「出せるものを出せた。今までにないピッチングだった」と後悔はない。

 須江監督は「160キロを投げられる可能性を秘めている」と期待。怪物候補は、今が「買い」時だ。(柳内 遼平)


 ≪取材信条のもと追い続けた仁田 今後にも注目≫ 「いいと思う選手はとことん追ってみんさい」。某球団スカウトに言われた金言を取材信条にしている記者は毎年「コイツを追う」と心に決めている選手がいる。21年はノースアジア大明桜(秋田)・風間球打(ソフトバンク)、22年は日体大・矢沢宏太(日本ハム)。23年の本命とした仁田は結局、今年の甲子園で一度も良い姿を披露できず、用意していた記者の予定稿は世に出ることはなかった。「記者に選手を見る目はあるのか…」。今後の仁田の活躍に注目したい。

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