【センバツ】日本航空石川 聖地で「希望の灯」となる 能登半島地震で自宅被害の石川「感謝したい」

2024年01月27日 06:00

野球

【センバツ】日本航空石川 聖地で「希望の灯」となる 能登半島地震で自宅被害の石川「感謝したい」
選抜出場を決め、富士山をバックにジャンプして喜ぶ日本航空石川の選手たち(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【3・18開幕 第96回選抜高校野球大会出場32校決定 】 第96回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の出場校を決める選考委員会が26日に大阪市内で開かれ、元日の能登半島地震の被災地である石川県から、日本航空石川と星稜が選出された。輪島市にある学校が甚大な被害を受け、現在は山梨県にある系列校で共同生活を送る日本航空石川の部員たちは、4年ぶり3度目の聖地で避難所生活を送る人々の「希望の灯(ともしび)」となる。
 午後3時56分、選考委員から「日本航空石川」の校名が読み上げられると、関係者から歓声と拍手が湧き起こり、吉報を待っていたナインの多くは静かに目頭を押さえた。中村隆監督もあふれる涙をこらえ切れなかった。

 「元旦からこんなことになるとは思っていなかったんですけど、みんなの思いを乗せて頑張ってきたい」

 1月中旬から系列校のある山梨で共同生活を送り、部員32人でこの日を迎えた。出場決定後はオンライン画面を通じて能登キャンパスにいるヘルメット姿の青木洋介校長からエールをもらった。多くの選手が涙した様子を見た中村監督は「やっぱり我慢していたんだろうなと思います」。普段は気丈に振る舞っていても、多感な高校生。寮とは違う慣れない避難生活を送る心労を思いやった。まだ全67人の部員が一堂にそろわない中、夢だった甲子園出場という希望の光が差し込んだ。

 輪島市内の祖母宅で被災した福森誠也(2年)は発表の瞬間に地震のことを思い出したという。「なぜだかわからない。頑張っている姿で被災地の方が何かを思ってくれればと思う」。同市内の自宅が被害を受けた石川智規(1年)は「苦しいことがあったが、野球ができることに感謝したい」とうなずいた。大会出場に向け、今後は2月末まで山梨で過ごし、練習試合の解禁される3月上旬以降は関西や四国へ遠征して実戦経験を積む予定だ。

 発表の際、選考委員からは異例のメッセージも読み上げられた。「センバツの大会理念には、野球を通じて生徒たちに純真明朗な気風を吹き込むとともに、国民の希望の灯をともしたいという願いを込めてこの大会が誕生したと明記されています」――。主将の宝田一慧(2年)は言う。「甲子園に立てることをうれしく思います。元気と気迫あふれるプレーを見せたい」。必死に頑張る姿は、きっと、被災地の「希望の灯」となる。 (石丸 泰士)

 【年末からの経過】
 ▼23年12月24日 石川県内のグラウンドで練習納め。
 ▼24年1月1日 能登半島地震が発生。校舎が甚大な被害を受ける。
 ▼同2日 全野球部員の無事を確認。
 ▼同4日頃 山梨キャンパスで生徒の受け入れ方針が決定。
 ▼同15日 山梨キャンパスで野球部員の受け入れを開始。
 ▼同19日 閉校した旧増穂商のグラウンドを使用して選手26人で全体練習をスタート。
 

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