【センバツ】創立1852年の耐久は初聖地 エース冷水「強い相手とやる方が気持ちも入る」

2024年01月27日 06:00

野球

【センバツ】創立1852年の耐久は初聖地 エース冷水「強い相手とやる方が気持ちも入る」
春夏通じて初の甲子園出場が決まり、歓喜の耐久ナイン(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【3・18開幕 第96回選抜高校野球大会出場32校決定 】 耐久(和歌山)の部員たちがグラウンドへと集まった午後4時過ぎ、まだ明るさの残る空に花火が打ち上がった。学校のある和歌山県湯浅町と隣の広川町が協力した文字通りの“祝砲”だ。甲子園初出場を告知する町内放送も鳴り響き、井原正善監督は「初めて見たし初めて聞いた。ありがたい」とうれしさ交じりに驚いた。 【耐久高校の動画はこちらから
 黒船来航の1年前にあたる1852年(嘉永5年)に開かれた稽古場「耐久社」を起源とし、全国有数の伝統を誇る公立校。野球部は1905年(明治38年)に創部された。昨秋の和歌山大会で初優勝し、40年ぶりに出場した近畿大会でも4強入り。選手19人で春夏通じて初となる甲子園への道を切り開いた。

 19年4月から母校を率いる井原監督は「いろんな方にお世話になって激励された」と、かみしめた。地域の期待も強く感じ、昨秋以降は街中でかけられる言葉が「頑張って」や「おめでとう」から「ありがとう」に変わった。プロ通算251勝の東尾修氏(元西武)の弟で特別後援会の事務局長を務める庄治さんらOBも駆けつけ、喜びを分かち合った。

 昨秋の公式戦を一人で投げ抜いた最速142キロ右腕の冷水(しみず)孝輔(2年)は「決まるまではドキドキがあった。スゴくうれしい。新しい歴史を刻めた」と声を弾ませ、「甲子園ではベストな投球をしたい。強い相手とやる方が気持ちも入る。どんな場面でも強い気持ちで向かっていきたい」と続けた。昨年12月に東尾修氏の指導を受ける機会に恵まれ、「真っすぐを褒めていただいた。力強い真っすぐを投げ込めば打者もビックリして打てないと。自信を持てた」とうなずいた。

 兄・秀輔さん(中部学院大2年)もOBでエースだった。在校時は21世紀枠候補校に入り、21年夏の県大会8強など、いまにつながる礎を築いてくれた。「教わったことはたくさんある。兄の分も…と思ってやってきた。恩返しを投球で見せたい」。100年を超える歴史と多くの人の思いを右腕に宿し、近づく春に思いをはせた。 (友成 貴博)

 ○…耐久は浜口梧陵らが幕末の国際情勢に備える人材養成のため、1852年(嘉永5)に開いた稽古場に始まり創立172年の歴史を誇る。過去、江戸時代に創立され甲子園大会に出場した主な学校は明和(愛知・1783年)、呉港(広島・1818年)、興譲館(岡山・1853年)、慶応(東京・1858年)などがある(※藩校の流れをくむ学校などは各校が発表している創立年に従う)。

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