「衝撃」侍デビューの中村は中学まで公務員志望 自己最速157キロで「完全」演出した

2024年03月08日 05:00

野球

「衝撃」侍デビューの中村は中学まで公務員志望 自己最速157キロで「完全」演出した
<欧州・日本>3回1死、三振を奪って雄叫びを上げる中村(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【強化試合   日本2ー0欧州 ( 2024年3月7日    京セラD )】 侍ジャパンは7日に欧州代表との強化試合第2戦を迎え、中村優斗投手(21=愛知工大3年)が自己最速に並ぶ157キロを計測し、1回打者3人斬りの侍デビューを飾った。過去に全国大会の経験はなく、初の大舞台で新星出現を印象づけた。阪神が今秋ドラフト1位候補に挙げる金丸夢斗投手(21=関大3年)も4奪三振を含む2回完全の快投。6投手の継投で2000年以降の国際試合では初の完全試合を達成した。
 日本よ、これが中村優斗だ――。侍ジャパン史上初の完全試合を達成した6投手の中で地方リーグの愛知大学野球連盟に所属し、全国大会すら未経験の右腕が衝撃を残した。

 「緊張したけど、初めてこういう大観客の中で投げられた。アドレナリンも出ていたので良い投球をすることができたと思います」

 計11球のうち7球を投じた自慢の直球は全て155キロを超え、自己最速に並ぶ157キロを計測した。直球の平均球速は驚異の156キロ。同世代のオリックス・山下が2回無失点の前夜に記録した156・2キロに匹敵する数値だった。3回1死では鋭く曲がるスライダーで空振り三振を奪うなど決め球も衝撃的な切れを見せ、侍デビュー戦を打者3人斬りで終えた。

 中学生までの夢は公務員だった。公務員試験の合格率が100%近いと聞き、野球では無名の諫早農(長崎)に進んだ。高校時代は県内でも知名度が高くなく、コロナ下で甲子園大会が中止された3年夏の長崎県の独自大会は初戦敗退。91年にロッテで首位打者を獲得した愛知工大・平井光親監督から「プロを目指そう」と才能を見いだされ、夢はプロ野球選手に変わった。

 球速は高3時の145キロから伸び続けて、昨年12月の大学日本代表候補合宿では157キロで自己最速を更新。現地視察した井端監督がほれ込み、今回の抜てきにつながった。

 「金丸よりもいい投球をしてやろうと思っていました。“濃い2日間だったね”と(金丸と)話しました」

 実績で先行する形で世代No・1と評される金丸から引き継いだマウンドで輝き、殊勲のヒーローインタビューまで経験。「山下投手と一緒に戦うことができ、多くのことを勉強できた。教えてもらったことを実践して頑張ります」。大学生の剛球がプロの侍たちを刺激して生まれた完全試合だった。
 (河合 洋介)

 ◇中村 優斗(なかむら・ゆうと)2003年(平15)2月8日生まれ、長崎県諫早市出身の21歳。1メートル76、82キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 小学2年に長田ジュニアクラブで野球を始めて投手。長田中では軟式野球部に所属。諫早農では1年秋から背番号1でベンチ入り。愛知工大では3年春秋と2季連続でリーグ最多奪三振を獲得。

 ☆持ち球 勝負球のスライダーに加えて、フォーク、カットボール、チェンジアップ。

 ☆憧れの選手 ドジャース・山本由伸。「身長も(1センチ差で)同じぐらいなのに、プロで圧倒している。自分もメジャーで活躍できる投手になりたい」

 ☆筋力 大学から本格的にウエートトレを導入して球速が上昇。ベンチプレスの重量は高3時の60キロから現在105キロまでアップ。

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