尾上右近、古典芸能界の“二刀流”が新たな世界へ!上方歌舞伎の名作「河庄」に挑む 南座で2日開幕

2024年03月01日 06:00

芸能

尾上右近、古典芸能界の“二刀流”が新たな世界へ!上方歌舞伎の名作「河庄」に挑む 南座で2日開幕
尾上右近 (撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 人気急上昇の若手歌舞伎俳優・尾上右近(31)が初めて上方歌舞伎の名作「河庄」に挑む「三月花形歌舞伎」が3月2日、京都南座で開幕する(24日まで)。
 公開中の映画「身代わり忠臣蔵」(監督河合勇人)では浅野内匠頭を演じ、テレビのバラエティー番組では笑いを取る。清元の家に生まれ、清元栄寿太夫(きよもとえいじゅだゆう)として活躍しながら、歌舞伎俳優として挑戦を続ける古典芸能界の“二刀流”が、新たな世界への扉を開いた。

 東京生まれの東京育ち。2月の「曽根崎心中」(大阪松竹座)で演じた徳兵衛に続き、2カ月連続して上方歌舞伎の代表作に挑む。「江戸の役者として、もちろん“祖国”として音羽屋のことは大事に思っているけれど“こうしなきゃいけない”というほどの者でもない。ならばあらゆるものに挑戦したいし、歌舞伎界は今、垣根を越えていくタイミングでもあると思うので、上方に縁のない僕が演じることで起爆剤になれば、と思っています」。饒舌(じょうぜつ)ながらその表情には覚悟が漂う。

 「曽根崎心中」では上方のセリフ回しもまったく違和感はなかった。秘訣(ひけつ)を聞くと「格好いい言い方をすると影の努力ですね、血のにじむような」と冗談めかした。成駒家(中村鴈治郎家)の役者に録音してもらったものをひたすら聞き、自分の発したセリフを楽屋で聞いてもらう…。しつこいまでに、これを繰り返し会得したという。「僕はこれを駅前留学と呼んでました」。笑いを混ぜながら明かす表情は人なつっこい。

 しかし、素の右近は「人前に立つのは苦手」。舞台はもちろん、劇場などの入館手続きでさえ「警備員さんに字を書いているところを見られてるだけで緊張する」という。それでも異例の二刀流に足を踏み入れ、活躍の場を広げるのは「人がやったことのないことをやることで、自分にしかできない事が見つかっていくと思うから」と胸の内を明かした。

 将来の夢は「歌舞伎を見たことのない人が、歌舞伎を見るきっかけになるような人間になること」。今回の公演でも「手引き口上」として本公演前に導入的な口上が入る。「“分かる人に分かってもらえればいい”というスタンスではなく“分からない人には分かってもらえるようにこっちから歩み寄る”というスタイルで。でも、選ぶ演目はコアなお芝居で勝負したい。“プライドを持ってひねくれる”みたいな」と独特な言い回しで意気込んだ。

 “ひねくれる”と言えば、東京育ちながら野球は阪神ファン。「歌舞伎界にも阪神ファン仲間がいるけれど、東京の人間なんで、こっそり喜び合ってる。そこがまた、いいんですよ」とニヤリ。もうすぐ始まるシーズンに向けて「もちろん連覇は目指して頂きたいですけど、実は僕、阪神ファンと言いながら甲子園に1回も行ったことないので、何か役の扮装(ふんそう)をして甲子園で始球式ができるような人間になりたい」。生まれついての“かぶき者”。挑戦はまだまだ続く。

 ◇尾上右近(おのえ・うこん)本名・岡村研佑。1992年(平4)5月28日生まれ、東京都出身の31歳。清元宗家七代目清元延寿太夫の次男。曽祖父は歌舞伎界の名優・六代目尾上菊五郎。母方の祖父は昭和の大スター鶴田浩二。屋号は「音羽屋」。

 ◆「三月花形歌舞伎」 午前の部は「河庄」と「将門」で親しまれる「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」。午後の部は右近が、妻を殺害される豊嶋屋七左衛門に挑む「女殺油地獄」と「将門」で3月2~24日(7、14日は休演)。

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