仲里依紗が語る 令和の“不適切”さ 平成かけ抜けデビュー20年 「ふてほど」に思い「大切なのは…」
2024年03月25日 09:30
芸能
初めて「ふてほど」の台本を読んだときの感想を、仲はこう振り返った。同作で、テレビ局で働くシングルマザー・犬島渚を演じている仲。現代なら“炎上必至”なコンプライアンス度外視のハラスメントワードが満載で、視聴者に大きな衝撃を与えている。
そんな作品に「もう、セリフが突き抜けていて。最初、私は“どっちに出るか!?”と思っていました」と不安もあったというが、蓋を開けてみれば好意的な意見ばかりだった。
「今は、ちょっとしたことで叩かれてしまう時代だから、少し不安でしたが…。『ふてほど』に共感する意見を多く見て、“ああ、私と同じような思いの人がいっぱいいたんだな”って、ホッとしました」
自由奔放な印象のある仲だが、実は「YouTubeでは一言一言、発言に気をつけながら話している」という。「なんか…ね、いろんな人のことを配慮してやらなければいけない、“生きづらさ”みたいなものはあるかもしれないね」と、言葉を選びながらも、現代を取り巻く空気に思いを馳せた。
「ふてほど」の放送によって、ネット上では「昭和が、令和が…」などと時代に関する議論が活発化しているが、平成元年生まれ仲はどう見ているのか。「私は15歳のときに東京に出てきて芸能界に入ったので、昭和生まれの方と過ごす時間が多かったので、どちらかといえば昭和寄りですね」と自己分析する。その上で「私の感覚では、昭和を“不適切だな”とはあまり思いません」と主張。「ちゃんと怒られてきました。怒鳴られることも、平成でも全然ありました。習い事で、間違えるたびに手を叩かれることもありました」と振り返った。
そんな仲は、令和を「実験されている時代」と名付けた。「私は今、子供を育てていますが、子供を怒らない人が本当に多いと感じます。ママでもパパでも、“怒ったことがない”と言う人、本当に多い。それが将来、どう影響するんだろうって。これまでは、怒られないで育った人って少ないと思うのですが、今は怒られた経験のある人の方が少ない。そういう子が大人になって、どうなるんだろう…。どう未来に影響を及ぼすのか、まだ誰も知らないじゃないですか。私も、エライ人も、当然知らない。だから私も、その“実験”に携わっている気分なんです」と、不安にも似た本音を打ち明けた。
その「実験」の中で、大切にしていることがある。
「自分たちが育ってきた感覚を押し付けるのはダメだと感じています。時代の流れに沿って、私たちも変わっていかなきゃいけない。相手に求めすぎないで、尊重して認め合うことを大事にしたい」
そんな仲の姿勢は多くの共感を呼び、YouTubeでは多くの視聴者の悩みにアドバイスをしたり、勇気づけたりしている。
「私は今、昭和と令和の、中間地点にいますね」と笑みを浮かべ、「“昭和はこうだった、私はこうしてきたわ”みたいなことを押し付けるのではなく、“私はこうしてきたけど、あなたはそうなんだ”と認め合って、話し合って。それが一番いいのかなと思っています」
自身が懸命に演じた渚にも似た冷静な視点とあたたかなまなざしで、現代を見つめていた。