桂春蝶、6月に「太陽の塔」テーマに30周年公演 岡本太郎さんの名言「芸術は呪術である」胸に高座へ
2024年04月08日 15:23
芸能
これまでも「自分の落語の“これ”というのを模索中」と、笑いに特化しない落語を作ってきた。13年から始めた「落語で伝えたい想い」シリーズでは第2次大戦の沖縄・ひめゆり学徒隊、アイヌ問題、知覧特攻隊やエルトゥールル号遭難事件、千日回峰行など難しいテーマを取り上げ、落語にしてきた。今回で第十作。題材は70年大阪万博のシンボルだった「太陽の塔」だ。
大阪・吹田出身の春蝶が子どものころから万博跡地の高台にある公園が遊び場だった。そこから北の方に「太陽の塔が真正面に見えました」。なにげなく見える巨塔に「この塔の持つ意味は何か?」と自問自答してきた。製作者の岡本氏についても研究。なかなか題材として同氏を取り上げるのが難しいとされているが「岡本太郎記念館」の平野暁臣館長(65)にかけあって許可を取得した。
「岡本さんは70年万博のテーマ“人類の進歩と調和”に異を唱えられてました。人類の進歩が幸せにつながるのかと。今も戦争がある。調和してない」と岡本氏を考察。「明るい未来へどう進むのかを考える」とテーマを掲げた。
今回の落語ネタは2部制となる。第1部は縄文時代、争いに巻き込まれた親子が未来へ向け“土偶”を作るという内容。第2部は1967年、万博のシンボルとなる塔の建設依頼を断り続けていた岡本氏が、土偶を見つけ、太陽の塔製作に臨むようになった話。春蝶自身「自分のルーツとなる作品に」と心の底にあった“巨塔”を巡る物語を練りに練っている段階だ。
「25年万博のテーマは“いのち輝く未来社会のデザイン”。55年前の岡本さんの想いを踏襲している感じですね」と春蝶。岡本氏の「芸術は呪術である」の名言を胸に「1人でも多くの人に聞いてもらって、その人に呪術のようにおまじないがかかって、いい人生を送れれば」と願っている。