桂由美さん死去 94歳 日本初のブライダルファッションデザイナー 前日に式典で祝辞も突然の訃報

2024年05月01日 05:10

芸能

桂由美さん死去 94歳 日本初のブライダルファッションデザイナー 前日に式典で祝辞も突然の訃報
桂由美さん(2019年6月撮影) Photo By スポニチ
 ウエディングドレスなどブライダルデザインの第一人者、桂由美(かつら・ゆみ、本名結城由美=ゆうき・ゆみ)さんが4月26日、死去した。94歳。東京都出身。ユミカツラインターナショナルが30日、発表した。本人の希望で死因など詳細は明かしていない。葬儀は行わず、追悼ショー(しのぶ会)を後日開く予定。和装中心だった戦後日本の結婚式にドレスを提案。「ユミライン」と呼ばれるデザインのドレスは国内外で愛された。
 突然の訃報だった。亡くなる前日の25日には名誉学校長を務める滋慶学園COMグループ専門学校の入学式で祝辞。同席した音楽評論家の湯川れい子さんは本紙の取材に「メモを見ることなく元気にスピーチされていました」と話した。長年、公私で親交があった元TBSアナウンサー山本文郎さんの妻・山本由美子さんは、23日に桂さんと一緒に食事。「すき焼きのお肉、大好きなお豆腐もモリモリと食べて…。それほど元気でした」と振り返った。

 共立女子大を卒業後、母親が経営する服飾専門学校で講師を務めた。本場パリでファッションの勉強がしたいという思いが湧き、母親が結婚資金としてためていた200万円を前借りし渡仏。ピエール・カルダン、イブ・サンローランら世界的デザイナーが卒業した学校で学んだ。

 帰国後の1961年、服飾専門学校の学生の卒業課題を「ウエディングドレス」にしたところ、ドレスを作る生地も、アクセサリー類も、靴も手に入らず困り果てた。それならば自分で専門店を作ればいい。これが、ブライダルの道に進むきっかけとなった。64年に日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動開始し、東京・乃木坂にブライダル専門店を開いた。

 当時はまだ、ウエディングドレスは全体のわずか3%と和装結婚式が主流だった。そんな中で、女優の草笛光子(90)ら著名人をモデルに起用したショーを開催し話題作り。高度経済成長の社会情勢もあって注目が集まりだした。81年には、裾を引きずる着物から発想した独創的なデザイン「ユミライン」のドレスを発表。これが世界的な人気となった。メディアも味方に付けた。女優らがモデルのブライダルショーは毎年のように開催。北川景子(37)ら、桂さんのウエディングドレスで結婚式を挙げるトップ女優も多数いた。

 先月もショーを開催するなど、最後までブライダルの第一線に立ち続けた桂さん。その遺志は今後、右腕として30年以上共同作業をしてきたクリエーティブチームが引き継ぎ、世界の花嫁の夢をかなえ続ける。

 桂 由美(かつら・ゆみ)1930年(昭5)4月24日生まれ、東京都出身。共立女子大家政学部卒。パリ留学後、日本初のブライダルファッションデザイナーに。69年、全日本ブライダル協会を設立。70年代に「1カ月の給料で買える」ウエディングドレス発表。93年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世に博多織の祭服をデザインし献上した。03年からパリコレ参加。06年には米誌「ニューズウィーク」で「世界が認めた日本人女性100人」に選ばれた。「全長2000メートルを超えるウエディングベール」が世界最長としてギネス記録に認定。

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