「光る君へ」藤壺の美術セット徹底解説！こだわり詰まった最高級空間 まひろ筆記具は「竹取物語」モチーフ
2024年09月01日 20:45
芸能
NHK大河ドラマ「光る君へ」（日曜後8:00）は1日、第33話「式部誕生」が放送され、まひろ（吉高由里子）はついに宮中に出仕。彰子（見上愛）が暮らす「藤壺」で、「源氏物語」の執筆を始めた。藤壺は、絶頂期を迎えた藤原道長（柄本佑）と妻の倫子（黒木華）が娘のためにプロデュースした最高級空間。美術部のこだわりが詰まっている。NHK映像デザイン部・山内浩幹チーフデザイナーとNHKアート・枝茂川泰生デザイナーがセットを徹底解説した。
＜※以下、ネタバレ有＞
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛～僕を忘れる君と」などを生んだ“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。
①内裏・藤壺
道長と倫子が彰子のために贅を尽くした建物。砂に届いてしまうほど垂れ下がった砂ずりの藤がシンボルツリーとなっている。藤原家の象徴でもある「藤」から想起される藤色＝紫をキーカラーに、雅で華やかな装飾が施されている。山内氏は「彰子の日常生活の流れが感じられるようなレイアウトにしている」と明かした。
■和歌屏風
部屋の中心には道長が入内の際に送った屏風が鎮座する。屏風には、花山院（本郷奏多）や藤原公任（町田啓太）ら当代一流の公卿たちの和歌が張られている。「屏風は彰子の入内を全面的に認めることを示す政治的象徴。“道長派”であることを宣言している」（山内氏）。
■松藤（砂ずりの藤）
庭には藤原氏の象徴でもある立派な藤がある。当時は藤棚がなかったため、松に絡ませている。枝茂川氏は「房が大きいので、特殊効果スタッフが房に風を当てると房が揺れ、上品で雅な映像に仕上がった」と胸を張った。
■キーカラー「紫」
御簾には紫色の野筋（のすじ）と言われる布が垂れている。淡い紫が鮮やかな緑色のアクセントになっている。几帳には紫雲と呼ばれる雲の文様が施されている。紫雲はめでたい印とされていたという。
■土御門殿の調度品
朱塗の棚など土御門殿からの調度品が藤壺に置かれている。枝茂川氏は「あえて土御門殿とつながりを持たせた雰囲気に仕上げた。土御門殿と宮中のハイブリッド。夫婦の愛情がこもっている」と語った。
■高燈台
平安時代の照明器具。円盤の部分には、金と銀の蛾の蒔絵が施されている。当時の認識では、蛾と蝶が明確に区別されていなかったともいう。火を灯した時に、灯りに蛾が集まるようなデザインになっている。山内氏は「おっとりした彰子がまひろと出会うことで化学反応を起こし、やがて道長と対峙し、最後は後宮を掌握する。さなぎから羽ばたく成長していく存在の象徴」と、蛾に込めた思いを語った。
②内裏・藤壺 女房たちの局
藤壺の北側にある女房たちのバックヤード。「吹抜屋台（ふきぬきやたい）」と呼ばれる平安絵巻に特徴的な室内の様子を俯瞰する構図をイメージし、ドローン撮影が可能な設計にした。部屋が横一列に並び、各部屋は引物や壁代で仕切られている。基本的に2人で1部屋を使用するが、まひろは道長の計らいで女房たちのリーダー格「宮の宣旨」と同等の個室を与えられた。まひろの局には、ドラマのキーアイテムである「月」が散りばめられている。
■まひろの筆記具
ききょうの文鎮は丸みのある鳥のデザインだった。「枕草子」に書かれている内容から発想を得て、小さいものやかわいいものが好きだったのではないかと考えた。枝茂川氏は「ききょうの筆記具にこだわったら、視聴者の皆さんがそれに反応してくださり、モチベーションが上がった。こんなに細かいところまで見てくれているなら、まひろの筆記具もさらにこだわりたい」と明かした。まひろの筆記具は、日本最古の物語「竹取物語」をモチーフにしている。硯（すずり）は月の形が彫られ、水差しは竹の文様が描かれている。筆置きは牛車。文鎮は月とウサギの形をしている。装飾スタッフ厳選の小道具だ。
■まひろの檜扇
道長がまひろにプレゼントした重要なアイテム。まひろと三郎が出会った思い出のシーンが繊細なタッチで描かれている。本来、檜扇に人物は描かないが、内田ゆき制作統括や中島由貴チーフ演出らたっての希望により、有識彩色絵師の林美木子氏が今作のために描き下ろした。山内氏は「将来、国宝級になるかもしれないので、スタッフは手袋をはめて扱っています（笑い）」と明かした。
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛～僕を忘れる君と」などを生んだ“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。
①内裏・藤壺
道長と倫子が彰子のために贅を尽くした建物。砂に届いてしまうほど垂れ下がった砂ずりの藤がシンボルツリーとなっている。藤原家の象徴でもある「藤」から想起される藤色＝紫をキーカラーに、雅で華やかな装飾が施されている。山内氏は「彰子の日常生活の流れが感じられるようなレイアウトにしている」と明かした。
■和歌屏風
部屋の中心には道長が入内の際に送った屏風が鎮座する。屏風には、花山院（本郷奏多）や藤原公任（町田啓太）ら当代一流の公卿たちの和歌が張られている。「屏風は彰子の入内を全面的に認めることを示す政治的象徴。“道長派”であることを宣言している」（山内氏）。
■松藤（砂ずりの藤）
庭には藤原氏の象徴でもある立派な藤がある。当時は藤棚がなかったため、松に絡ませている。枝茂川氏は「房が大きいので、特殊効果スタッフが房に風を当てると房が揺れ、上品で雅な映像に仕上がった」と胸を張った。
■キーカラー「紫」
御簾には紫色の野筋（のすじ）と言われる布が垂れている。淡い紫が鮮やかな緑色のアクセントになっている。几帳には紫雲と呼ばれる雲の文様が施されている。紫雲はめでたい印とされていたという。
■土御門殿の調度品
朱塗の棚など土御門殿からの調度品が藤壺に置かれている。枝茂川氏は「あえて土御門殿とつながりを持たせた雰囲気に仕上げた。土御門殿と宮中のハイブリッド。夫婦の愛情がこもっている」と語った。
■高燈台
平安時代の照明器具。円盤の部分には、金と銀の蛾の蒔絵が施されている。当時の認識では、蛾と蝶が明確に区別されていなかったともいう。火を灯した時に、灯りに蛾が集まるようなデザインになっている。山内氏は「おっとりした彰子がまひろと出会うことで化学反応を起こし、やがて道長と対峙し、最後は後宮を掌握する。さなぎから羽ばたく成長していく存在の象徴」と、蛾に込めた思いを語った。
②内裏・藤壺 女房たちの局
藤壺の北側にある女房たちのバックヤード。「吹抜屋台（ふきぬきやたい）」と呼ばれる平安絵巻に特徴的な室内の様子を俯瞰する構図をイメージし、ドローン撮影が可能な設計にした。部屋が横一列に並び、各部屋は引物や壁代で仕切られている。基本的に2人で1部屋を使用するが、まひろは道長の計らいで女房たちのリーダー格「宮の宣旨」と同等の個室を与えられた。まひろの局には、ドラマのキーアイテムである「月」が散りばめられている。
■まひろの筆記具
ききょうの文鎮は丸みのある鳥のデザインだった。「枕草子」に書かれている内容から発想を得て、小さいものやかわいいものが好きだったのではないかと考えた。枝茂川氏は「ききょうの筆記具にこだわったら、視聴者の皆さんがそれに反応してくださり、モチベーションが上がった。こんなに細かいところまで見てくれているなら、まひろの筆記具もさらにこだわりたい」と明かした。まひろの筆記具は、日本最古の物語「竹取物語」をモチーフにしている。硯（すずり）は月の形が彫られ、水差しは竹の文様が描かれている。筆置きは牛車。文鎮は月とウサギの形をしている。装飾スタッフ厳選の小道具だ。
■まひろの檜扇
道長がまひろにプレゼントした重要なアイテム。まひろと三郎が出会った思い出のシーンが繊細なタッチで描かれている。本来、檜扇に人物は描かないが、内田ゆき制作統括や中島由貴チーフ演出らたっての希望により、有識彩色絵師の林美木子氏が今作のために描き下ろした。山内氏は「将来、国宝級になるかもしれないので、スタッフは手袋をはめて扱っています（笑い）」と明かした。
