エンゼルス・大谷 決断の背景―球宴での登板断念、HR競争辞退の意向「今日で厳しくなった」

2023年07月06日 02:30

野球

エンゼルス・大谷 決断の背景―球宴での登板断念、HR競争辞退の意向「今日で厳しくなった」
<パドレス・エンゼルス>6回途中、5失点で降板する大谷(撮影・沢田 明徳) Photo By スポニチ
 【インターリーグ   エンゼルス5―8パドレス ( 2023年7月4日    サンディエゴ )】 エンゼルスの大谷翔平投手(29)が4日(日本時間5日)、オールスター戦(11日=同12日、シアトル)で投手での出場と本塁打競争参加を断念する意向を明かした。3年連続で投手とDHで選出され、2年ぶりの投打同時出場と本塁打競争参加が期待されていた中での決断。4日の登板で悪化した右手中指のマメと割れた爪を理由に挙げたが、実現しなかった背景や真相に、大リーグ担当の柳原直之記者が迫った。
 大谷の表情に目を向けると、悔しさはあっても、迷いは見えなかった。前回登板で割れた右手中指の爪とマメができた影響で、本来の投球ではなかったパドレス戦。試合後、1週間後の11日の球宴での登板を「ちょっと無理。今日で厳しくなった」と語り、10日の本塁打競争も「今日の感じだとたぶん出られない」と続けた。

 記者が知る限り、本塁打競争に出場したい気持ちがないわけではない。二刀流で現代野球の常識を覆してきた大谷にとって、本塁打競争制覇は前例なき挑戦の一つ。21年の初出場時は「単純に日本人が出ているところを見てみたかった」と語り、日本選手としての初出場や初優勝に魅力を感じていた。現に6月29日にフィル・ネビン監督は「彼(大谷)は既に出場を断っていると思う」と述べたが、それから4日後の本紙取材には「まだ彼が決断を下したかは分からない」と前言を撤回。最終的な判断は大谷に託されていた。

 複数の関係者を取材していく中で明らかになったのは、この日の試合前までには本塁打競争欠場を決断していたことだ。最大の理由は肉体的な負担。前回21年は前半戦で33本塁打を放ったが、後半戦に失速し、本塁打王を逃した。本塁打競争は短時間にフルスイングを繰り返すため、打撃フォームを崩す傾向があると指摘される。大谷からも、昨夏の本塁打競争の欠場理由を「運動量的に多くなってしまう」と聞いたことがある。ましてや、今季は9年ぶりのプレーオフ進出を狙えるチーム状況。特に、トラウト、ウルシェラら野手陣が故障者続出で正念場を迎えており、後半戦に万全の状態で臨むための決断だった。

 投打同時出場の可能性は最後まで残していたのだろう。ただ、後半戦開幕の14日(日本時間15日)のアストロズ戦の先発が有力で、球宴に登板すれば間隔は中2日。昨夏も同じ条件で「中2日だと厳しいかな、不安がある」と登板回避を決断しており、100%前向きな気持ちではなかった。さらに、右手中指のマメと割れた爪が“ダメ押し”となり、実現しなかった。3年連続3度目の「ミッドサマー・クラシック(真夏の祭典)」。DHでスタメン出場する本番で、圧巻の本塁打に期待したい。(柳原 直之)

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