栗山英樹氏 チェコ代表が再認識させてくれた“野球愛” 来日中の一行と再会

2023年08月05日 05:10

野球

栗山英樹氏 チェコ代表が再認識させてくれた“野球愛” 来日中の一行と再会
チェコ代表と栗山氏(左からハジム監督、エルツォリ投手、栗山氏、ムジーク選手)                                Photo By スポニチ
 【栗山英樹 帰ってきた熱中先生】WBCから4カ月が過ぎ、うれしい再会があった。来日中のチェコ代表の一行と取材で会談。パベル・ハジム監督をはじめルカシュ・エルツォリ投手、マルティン・ムジーク内野手と野球談議を交わすことができた。
 WBCでは1次ラウンド第3戦で対戦。あの試合で強く感じたことがあった。とにかくひたむきで、一投一打に全力を尽くす。その姿に、日本のファンも心を打たれた人が多かったはずだ。彼らは決して恵まれた環境でプレーしているわけではない。ほとんどの選手が仕事を持ち、仕事の合間に練習してる。エルツォリ、ムジークの両選手は月曜日から金曜日まで毎日8時間働いている。そんな環境の中で素晴らしい野球を見せてくれた。

 何が彼らの原動力なのか。そう思って「なぜそこまでして野球ができるんですか?」と質問すると、3人から返ってきた答えが私の心に突き刺さった。ハジム監督は「情熱が一番だ」と言い、エルツォリ投手は「一言で言えば“愛”です」。そしてムジーク選手は「私の人生は野球なしで考えられない。野球がなければ何をすればいいか分からない」と言い切った。欧州に、こんなにも野球を愛し、大切に思って打ち込む野球人がいる。そのことに感激し、うれしくてたまらなかった。

 チェコ代表が持つ熱い思い。これって、我々が子供のころからずっと抱いていたものに他ならない。でも、恵まれた環境の中で野球をするうちに、忘れることはないけど、どこか薄れて、曇っていってしまう。それをWBCで試合する中で思い出させてくれた。「野球ってこういうものなんだよな」と。試合では日本の打者でもなかなか打てない佐々木朗希投手(ロッテ)の160キロをバットの芯で打ち返した。そこには技術以上に「自分の存在を懸けてなんとしても打つんだ」というような魂も感じた。

 大会前、彼らの目標は米国で試合をすることだったそうだ。それが「日本に来て本当によかった。日本との試合は一生忘れない」と言ってくれた。日本の野球も、彼らにそう思わせる存在であり続けないといけない。そんな彼らの、チェコの野球をどうしても現地で見たい。9月にチェコへ行くつもりだ。(前侍ジャパン監督)

 ≪ハジム監督から“お願い”「親善アンバサダーに」≫栗山氏は、チェコ代表一行から背番号89と名前が入ったチェコ代表ユニホームを贈られた。WBCの試合を通じて生まれた絆は深く、栗山氏もサイン入りの侍ジャパンのユニホームなどをプレゼント。会談の最後にハジム監督から「栗山さんは監督としても、リポーターとしても素晴らしい。ずうずうしいお願いですが、日本とチェコの野球をつなげる親善アンバサダーになってくれませんか」と要望され、栗山氏も「そう言ってもらえてうれしい」と答えていた。

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