プロ19年間の集大成は球界最高峰の舞台で DeNA・藤田の誠実に歩んだ現役生活を見届けたい

2023年09月26日 08:00

野球

プロ19年間の集大成は球界最高峰の舞台で DeNA・藤田の誠実に歩んだ現役生活を見届けたい
24日の巨人戦で8回に代打で出場し、安打を放ったDeNA・藤田 Photo By スポニチ
 背番号「23」のユニホーム姿を、ぜひとも日本シリーズで見たい。出場がかなえば13年以来、10年ぶりの晴れ舞台。前回は楽天の一員として日本一になった。DeNA・藤田一也。その10年前に遊軍記者として初めて取材し、明るくて誠実な人柄に惚れ込んだ。41歳の最後の花道。この目でしかと見届けたい。
 21日に今季限りでの現役引退を発表。22日の引退会見では「19年間は苦しく、辛かった」と大粒の涙を流した。しかし会見は行ったが、藤田はまだ「現役」だ。会見翌日の23日の中日戦は5回に代打で四球。24日の巨人戦では3点を追う8回2死一塁の場面で登場し、引退発表後初の安打となる中前打を放った。

 驚いたのはその直後だ。満員のスタンド、特に一塁側、右翼から割れんばかりの「藤田コール」が起こった。10年ぶりにDeNAに復帰し、今季が2年目。本人も引退会見で「最後にベイスターズのユニホームを着て引退できるのは本当に幸せ」と涙した。そんな藤田の現役最後の姿を目に焼き付けようと、ファンも心から声援を送っているのだと思った。

 巨人戦は黒星。安打を放ち、今季成績を17打数6安打の打率・353とした藤田だったが、試合後はもちろん笑顔はなかった。

 「やっぱり勝たないと意味がない。負けたので(自身の安打は)喜べないです」

 藤田の耳にも、ファンからの「藤田コール」は届いていた。

 「本当に力になるし、背中を押してくれる。次は勝ってああいうコールをしてもらいたいなと思いますね」

 CSに出場し、下克上で日本シリーズへ。そうなれば藤田にとって、星野仙一監督のもとで日本一になった楽天時代の13年以来となる。「残り試合、しっかりと勝ちにつなげるヒットを打ちたい」。その言葉には現役選手としてのプライドがにじむ。プロ19年目。集大成を見せてほしいと、心から願う。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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