カージナルス・ガエゴス WBCのことは「もう忘れたよ」も、真面目なラティーノが1年越しの「リベンジ」

2024年04月03日 08:00

野球

カージナルス・ガエゴス WBCのことは「もう忘れたよ」も、真面目なラティーノが1年越しの「リベンジ」
大谷を打ち取り、捕手のヘレラ(左)とタッチを交わすカージナルスのガエゴス(AP) Photo By AP
 1年越しの「リベンジ」だった。
 3月29、30日(日本時間30、31日)、ロサンゼルスでのドジャース戦で登板し、そのどちらのゲームでも大谷翔平選手と対戦したのがカージナルスの救援右腕、ジョバンニ・ガエゴス投手。その名を聞いてピンと来るベースボールファンは少なくないだろう。昨年3月、メキシコ代表のクローザーとしてWBCに出場し、侍ジャパンと対戦した準決勝で9回にサヨナラ負けした際にマウンドに立っていた投手だ。

 特に先頭打者だった大谷が逆転劇の口火を切る二塁打を放ち、二塁上で「カモーン!」のポーズで自軍を鼓舞したシーンは名場面として記憶されている。

 あれから1年―――。開幕シリーズでも2度マウンドに立ったガエゴスは、29日のゲームでは7回2死走者なしの大谷との対戦でスライダーを投げて空振り三振。続いて30日、1点リードの延長10回2死満塁の大ピンチで大谷を迎え、最後は91マイル(約146キロ)の速球で遊飛に打ち取り、見事に今季初セーブを挙げた。

 メキシコ出身のガエゴスはラティーノらしからぬ(?)真面目な性格。それでも試合後、クラブハウスでの囲み取材の後に呼び止め、大谷との連夜の対戦について問うと、珍しく表情を崩した。チームの今季初勝利に大きく貢献した30日の投球はやはりうれしかった様子。「(大谷は)リーグ最高級の打者だから、毎日同じ球を投げるわけにはいかない。自分の持ち球を信じて投げた」と説明したときの笑顔は爽やかだった。

 32歳のガエゴスはもうカージナルスブルペンではベテランだが、昨季はWBCでの乱調が尾を引いたのかシーズンに入っても防御率4・42で不振。特に左打者には被打率・299、WHIP1・55(右打者には同・220、0・99)と弱かったことが響いた。そんな背景を考えれば、大谷、ジェームズ・アウトマン、ジェイソン・ヘイワードといった左打者もきっちり抑えた今季は好スタートを切ったといっていいのだろう。

 「(WBCのことは)もう忘れたよ。僕とチームにとって素晴らしい経験だった。優勝した彼ら(日本)にとっても良かったのだろう。ただ、今はこのチームに集中している。チームの勝利を助け、打者をアウトに取ろうとしている」

 口数は多いとは言えないが、通称「ジオ」は勝っても、負けても、同じように質問に答えてくれる真摯な好漢。大リーグ公式サイトによってメジャー全体でも7位と評価されたカージナルスの強力ブルペンの中で、セットアッパーとしてどんな働きを見せてくれるのか。1年越しの「リベンジ」から始まった今季の行方を楽しみにしておきたい。(記者コラム・杉浦 大介)

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