藤井聡太 立つ王将 跡を濁さず――4連勝で防衛から一夜 ピカピカV4へ 勝率・872、歴代最高更新も
2024年02月10日 05:00
芸能
将棋盤と同じフレームに納まるよう、カメラマンから求められた撮影では体幹を使う体勢を維持。「これは地味にハードルが高い。肉体的衰えを感じます」。21歳の絶対王者らしからぬ本音も漏れ「家だと、食べたヨーグルトの容器をそのままにして怒られます」とのリップサービスもあった。
新年最初のタイトル戦で知られる王将戦を4連勝した。その恩恵で最長3月31日まであった7番勝負を1月7日の開幕から1カ月余りで終えることができた。振り飛車党の菅井竜也八段を迎え撃った王将戦。2月に入って並行開催となる、居飛車党の伊藤匠七段との今年度最後のタイトル戦、棋王戦へ集中することができる。
4連勝効果は藤井が挑む歴代最高勝率も後押しする。今年度成績を41勝6敗として・872。毎年8割超えの藤井でも突出する数字だが今年は様相が違う。第4局を勝利する2時間40分前の午後3時12分、名古屋対局場で藤本がC級2組順位戦に勝利し、42勝7敗の・857に伸ばした。
「私や伊藤七段と違って力強い。定跡型ではなく力戦型を指すことが多い棋士で、中盤の駆け引きの中でうまくいい態勢をつくって終盤に持ち込んでいます」。前日も終局後、戻ってきたスマホで順位戦中継を確認。注目度の高さを物語る、棋風紹介までした。
「年度末まで残り2、3局くらいになって意識したら負けたことがある」。45勝8敗で終えた18年度、3月11日に喫した1敗がもし勝ちだったら46勝7敗、・868で更新できていた。その反省から以前は「あと1、2局になれば意識するかもしれません」と語ったがこの日、ついに「考えない方がいいですね」と思考を断ち切った。10日、最大2局ある朝日杯が最初の関所。清めた将棋盤、床と同様、真っさらな心で再び将棋と向き合う。
≪藤井王将に聞く≫
――第4局から一夜明けて思うことは?
「互いに序盤から馬を作り合う形になって、判断の難しい局面が多かった。特に封じ手の飛車交換をした局面をどう見るかというのが考えていても難しく、大きなポイントだった」
――進行中の棋王戦第1局は持将棋だった。
「先手が後手に入王される前になんとか手をつくっていけるかどうかがポイントと思っていた。実際に指してみると、伊藤七段にうまく受けられて、なかなかそうした手段を出していくのが難しかった。そういった点で伊藤七段の当初のプランだったかなと思う」
――次局は金沢市。被災地での対局については?
「1月に地震があってまだまだ大変な状況が続くと思うが、そういった中で迎え入れていただき感謝しています。集中して面白い将棋が指せるように全力を尽くしたい」